原英莉花2年ぶり復活V 「シードも取れないんじゃないか」不振、手術乗り越え歓喜

 18番、ウイニングパットを決めギャラリーの歓声と拍手に応える原英莉花(撮影・開出牧)
 優勝争いをした同組の菊地絵理香(左)と抱き合う原英莉花
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 「女子ゴルフ・日本女子オープン選手権・最終日」(1日、芦原GC海C=パー72)

 不振、手術を乗り越え、復活-。原英莉花(24)=NIPPON EXPRESSホールディングス=が2020年大会以来、3年ぶり2度目の大会制覇を果たした。首位から出た最終日を1イーグル、3バーディー、1ボギーの68でまとめ、通算15アンダーで逃げ切った。今季初優勝で、21年11月の大王製紙エリエール・レディース以来、2年ぶりのツアー通算5勝目。史上18人目となるメジャー3勝を成し遂げた。

 ついに祝福の大歓声を浴びた。3打リードで迎えた最終18番グリーン上。取り囲むようにコロナ禍の3年前にはいなかった大観衆が見守っていた。最後のウイニングパットを沈めると、原は復活を示すように右手を高々と突き上げ、復活劇をたたえるギャラリーに向かって一礼。「本当にたくさんの方に応援していただけて、自分は幸せ」。顔を上げると、その表情は実に晴れやかだった。

 3日目から2日間に渡る“エリカ対決”は、緊張の一騎打ちだった。菊地の3番バーディーで一時は首位に並ばれた。パー5の5番で2オンすると、今大会好調のパットをピン左から5メートルを流し込み、会心のイーグルで再び単独トップ。さらに7、15番とバーディーを積み重ねたが、ボギーを叩かない菊地のプレッシャーに「隙を見せてはいけない」と最後まで、一瞬たりとも気が抜けなかった。

 長い長いトンネルだった。原を悩ませた腰の痛み。4月のフジサンケイ・レディースで「いきなりしびれが来た」と右足に違和感を覚えたのが始まりだった。痛み止めの注射も効かなくなり、5月にヘルニア摘出手術の大きな決断。戦列から離れ、不安ともどかしさを抱える日々を送った。

 未勝利の昨季はスランプにも陥った。「(体は)普通の状態なのに、シードも取れないんじゃないかって戦っていた夏場からつらかった」。不振、そして腰の痛み…。そんな苦難を乗り越え、手術から復帰8戦目でつかんだ2年ぶりの復活V。優勝会見では原の目に光るものがあった。

 使用するボールには毎年一つ意味を込めた英単語を刻んでいる。今年刻んだのは『readiness』。「覚悟」という意味が込められている。「正直、選手生命短いのかなと思ってる中で自分が出来る挑戦ということを前向きに頑張っていく。強い気持ちで戦っていく」。2週後には来季の米女子ツアー参戦権を懸けた2次予選(米フロリダ州)に出場する原。覚悟の挑戦は続く。

 ◆原英莉花(はら・えりか)1999年2月15日生まれ。横浜市出身。10歳からクラブを握り湘南学院高2年だった2015年に芹沢名人を介して尾崎将司門下入り。16年の神奈川県ジュニアで優勝。17年にプロテスト落選も出場予選会(QT)経由でツアー登録し、18年のLPGA下部のステップアップツアーで2勝。同年2度目のプロテストに合格、賞金ランク38位でシード権獲得。19年6月リゾートトラストレディスでツアー初V。173センチ、58キロ。

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