稲森佑貴 涙の今季初V“日本一曲がらない男”感情もストレート 自身初のプレーオフ制した
「男子ゴルフ・ACN選手権・最終日」(8日、三甲GCジャパンC=パー72)
3位から出た稲森佑貴(29)=国際スポーツ振興協会=が7バーディー、1ボギーの66をマーク。通算17アンダーで並んだ宋永漢(韓国)とのプレーオフに突入し、1ホール目でパーを奪って今季初優勝を果たした。2022年6月のプレーヤーズチャンピオンシップ・サトウ食品以来、ツアー通算5勝目。14アンダーのショーン・ノリス(南ア)が3位。首位から出た今平周吾は72で回り、首位と4打差の4位だった。2位から出た池田勇太は75と崩れ、12位に終わった。
1メートル弱のパーパットを沈めてツアーでは自身初のプレーオフを制すと、稲森は力強いガッツポーズを繰り出した。ツアー1位のフェアウエーキープ率79・74%を誇る“日本一曲がらない男”。だが、優勝インタビューで「夏場からスイングでいろいろ悩んでいたんで…」と語り出すと、涙とともに真っすぐな感情がこぼれた。
号泣に至った悩みのタネは、技術だけでなく精神面にもあった。8月の横浜ミナトCS最終日は、大雨で約3時間半の中断となり、その時点で首位。すると試合途中にもかかわらず周囲から「稲森Vで決まり」の雰囲気が漂っていたという。再開までの長い時間に気を保とうとしたが「少しだけお休みモードに入った」と崩れ、V逸の5位。以降は調子も下降線をたどった。
「あの時は気が気でなかった。たらればで言えば中止になってくれたら良かったのかな。でも、それを認めてしまったらプロとして終わってしまう」
自分の弱さと向き合い2カ月。この日は気負いがなかった。「原点回帰じゃないけど全部パーでいいよ、みたいな感じで」。自身の首位に気づいたのも16番でリーダーボードを見てからだった。
今季初優勝をつかみ、視線に映るのは過去2勝を挙げる次週の日本オープン選手権だ。「タフなコンディションは燃える」。“オープン男”の血が騒ぐ。