イ・ボミ 涙のち笑顔「すごく幸せ」 大ギャラリー応援で「昔のボミ、自信満々のボミになって回った」
「女子ゴルフ・マスターズGCレディース・第2日」(20日、マスターズGC=パー72)
日本ツアー最後の大会だったイ・ボミ(35)=延田グループ=が、最後の18ホールをプレーした。大ギャラリーに迎えられて涙のスタートを切り、2バーディー、2ボギーの72をマーク。通算11オーバーの99位で予選落ちしたが、最後は満面の笑みでホールアウトし、2011年から13年にわたる日本ツアー生活に区切りをつけた。65で回った菅沼菜々が通算11アンダーで単独首位に浮上。66の福田真未が1打差の2位。さらに1打差の3位に山下美夢有らがつけた。
最後に“ボミ・スマイル”が咲いた。短いラストパットを沈めて、13年にわたる日本ツアー生活にピリオド。別れを惜しむ大ギャラリーの声に包まれながら、両手を上げて最高の笑顔を振りまいた。
「昔のボミ、自信満々のボミになって回った。皆さんの応援のおかげだと思います」
涙から始まった。練習グリーンから1番ティーへ向かう道中、多数のファンが応援タオルを掲げて花道を作った。その中に、見知った子どもが泣いているのを見てもらい泣き。赤くなった顔を押さえながらスタートした。同組の上田、小祝、そして清水重憲キャディー、同行した多数のギャラリーがピンクのウエアを着て、送り出した。
初日は83と大たたき。全盛期の力にはほど遠かった。だが、一時代を築いたスターは何かを持っている。2番パー4の第2打。残り128ヤードから放った打球は、ピンそば右につくベタピン。ラストマッチで黄金タッグを組んだ清水キャディーは「全盛期の時の一打が出たなって」としみじみ語った。
長かった日本ツアー生活も胸を張って終われる。2010年に韓国で賞金女王に輝き、11年に海外挑戦。当時主流だった米ツアーではなく、家族の負担を考えて日本ツアーを選んだ。その選択は「間違いなかったです」と言う。
17年8月の優勝を最後に、近年は不振に陥った。成績の出ない日々に、ファンに対して申し訳なく思うこともあった。それでも、この日は試合後も大勢のファンがクラブハウス前で、ひと目見ようと待ち受けていた。「私の心は今すごく幸せ」。誰からも愛された“スマイル・キャンディー”劇場は大団円で幕を閉じた。
◆2019年12月にイ・ボミと結婚した韓国俳優のイ・ワン(39)がギャラリーとして同行し、最後まで見届けた。日本のファンに対し「外国人の選手だけど、愛してくれてうれしい」と感謝。結婚後は妻の成績が振るわなかったことに負い目を感じることもあったが、互いに励まし合った。引退後のこれからに「第二の人生は1から100まで僕が支えたい」と力強く誓った。
◆イ・ボミ 1988年8月21日、韓国水原市出身。12歳でゴルフを始め、2007年に韓国ツアーでプロ入りを果たした。10年に同ツアーで賞金女王を獲得すると、11年に日本ツアーに参戦。12年3月のヨコハマタイヤ・プロギア・レディースで日本ツアー初優勝を挙げた。15年は7勝、16年は5勝を挙げて2年連続の賞金女王に輝いた。ツアー通算21勝。19年12月に韓国俳優のイ・ワンと結婚。笑顔がトレードマークで「スマイル・キャンディー」の愛称で日韓のファンに親しまれる。158センチ、56キロ。