杉浦悠太 史上7人目アマチュアV→堂々のプロ転向宣言 「緊張止まらない」も18H逃げ切った
「男子ゴルフ・ダンロップ・フェニックス・最終日」(19日、フェニックスCC=パー71)
首位から出たアマチュアの杉浦悠太(22)=日大4年=が4バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの71で逃げ切り、通算12アンダーで史上7人目のアマチュア優勝を果たした。アマチュアVは昨年の蟬川泰果以来。優勝スピーチではプロ転向を宣言した。3打差の2位に蟬川、中島啓太が続き、ともに賞金3000万円を獲得。4年ぶりに日本ツアーに出場した松山英樹は5アンダーの10位だった。
何打リードがあっても息詰まる最終日を、22歳の大器が乗り切ってみせた。最終18番で1メートルのバーディーパットを沈めると、杉浦は緊張感から解き放たれるように、息を吐き、目をつむりながら天を仰いだ。
「記念すべき50回大会で優勝することができて本当にうれしい。これからプロとして活躍できるように頑張りたい」
史上7人目の偉業を成し遂げ、堂々の即“プロ宣言”だが、これも運命だったのかもしれない。9月に下部ツアー「ダンロップフェニックストーナメントチャレンジ」で優勝し、今大会の出場資格を獲得したが、当初は来季のプロ転向、レギュラーツアー出場を目指し、同時期に行われる2次予選会(QT)でプレーする予定だった。しかし過去の実績を評価され、3次予選からの受験を日本ゴルフツアー機構が承認。晴れて今大会に出場することができた。
松山、ケプカ、そしてナショナルチーム時代から慕う1学年上の中島に勝った。ただ、歴戦のプロから追いかけられる18ホールで、重圧を感じるのは当然のこと。自身初の最終日最終組で「体が勝手に緊張してた」と朝から食事もなかなか喉を通らなかった。
前半を4打リードで折り返したが、11番では痛恨のダブルボギーを喫した。「緊張が止まらなかった」と続く12番も落とすと、猛追してくる蟬川が一時は2打差まで接近。1メートルを沈めた16番で取り返し、2打リードで迎えた最終18番を3打目でパーオンさせて、ようやく優勝を確信した。
4歳の時に、父の博倫さん(49)に練習場へ連れられて始めたゴルフ。小学生時代は野球との二刀流だった。「ゴルフの試合前でも(直前に)野球の試合で負けたらバッティングセンターに行っていた」(博倫さん)という負けず嫌いな性格。2、3日目に「ビビらずにいきたい」とドライバー攻めしていた気持ちの強さは昔から変わっていない。
優勝後はプロ転向届、ツアーメンバー登録の手続きを行い、晴れてプロになった。来週のカシオ・ワールドオープンがプロデビュー戦の予定。「まずはプロとして1勝を挙げることが目標」。また男子ゴルフ界に楽しみな新星が現れた。
◆杉浦悠太(すぎうら・ゆうた)2001年9月12日生まれ。愛知県出身。4歳の時にシングルプレーヤーを目指していた父の博倫さんに練習場へ連れられ、ゴルフを始めた。福井工大福井高2年時に日本ジュニア優勝。19年からナショナルチーム入り。22年の日本オープンで3位。今年9月に下部ツアー大会で優勝。ドライバーの平均飛距離は290ヤード。趣味は野球観戦で好きなチームは中日。172センチ、74キロ