蟬川 大会最年少V 賞金王中島に競り勝った!涙のメジャー2勝目「勝てたのは本当にうれしい」
「男子ゴルフ・日本シリーズJTカップ・最終日」(3日、東京よみうりCC=パー70)
首位タイで出た蟬川泰果(22)=フリー=が4バーディー、2ボギーの68でスコアを二つ伸ばし、通算15アンダーで優勝した。4月の関西オープン以来となる今季2勝目で、通算4勝目はアマチュアVを果たした昨年の日本オープン選手権以来のメジャー制覇。22歳326日での優勝は、1981年に23歳363日で制した羽川豊を抜き大会最年少。同じく首位タイで出た中島啓太が通算14アンダーで金谷拓実と並び2位。石川遼は通算8アンダーで7位に終わった。
勝負をかけたスーパーショットだった。「本当にいちかばちか。アゲンストの風が吹いていたので、パーかダボかの覚悟を持って振り切った」。1打リードの首位で18番パー3を迎えた蟬川が、グリーン右手前ラフから25ヤードの第2打を放った。
ピンは手前で、傾斜の強いグリーンの上まで転がってしまえばスコア維持は至難の業。60度のウエッジを開き、強くスピンをかけたボールはピン横40センチでギュッと止まった。パーで逃げ切り「うれしいの一言。こうやってまた優勝できるのは幸せ」と涙で優勝の味をかみしめた。
直前まで今季賞金王を最後まで争った中島、金谷と14アンダーで並んでいた。17番パー5のバーディーで抜け出し、勝ちきったことに価値がある。
昨年は、アマチュアでは95年ぶりに日本オープンを制するなどツアー2勝。プロ転向実質1年目の今季も4月の関西オープンに勝ったが、その後はトップ10に8度も入りながら8カ月も優勝から遠ざかった。
その間、同学年の中島や平田が優勝を重ね「自信をなくしかけていた。自分の存在がどんどん小さくなって、悔しい時間を過ごした」。最終日最終組だった今季賞金王の中島を最後に破り「見ていて本当に隙がない。勝てたのは本当にうれしい」と喜びも倍増だ。
賞金ランキング2位で今季を終え、欧州ツアーの出場資格も得た。主戦場は日本としながらも「今日決めたことだが、アジア、欧州、米ツアーに出る機会もある中で、来年は海外で1勝を目標にやりたい」。劇的な最終戦Vで新たなターゲットが定まった。
◆大会最年少V&最年少メジャー2冠 蟬川が22歳326日で。これまでの記録は1981年に日本オープン選手権に続いて今大会を制した羽川豊の23歳363日。73年のツアー制度施行以前では、28年に浅見緑蔵が日本プロ選手権と日本オープンの2冠を20歳102日で達成している。
◆蟬川 泰果(せみかわ・たいが)2001年1月11日、兵庫県加東市出身。名前はタイガー・ウッズに由来。大阪・興国高から東北福祉大へ進学。22年の世界アマチュアチーム選手権で個人2位に入り、9月のパナソニックオープンで史上6人目のアマ優勝。10月に日本オープンを制し、ツアー史上初のアマ2勝。同年11月にプロ転向。今季は4月の関西オープンでプロとして初優勝。22年度のデイリースポーツ制定「ホワイトベア・スポーツ賞」を受賞。175センチ、75キロ。