鈴木愛 完全Vで通算19勝目 5月で30歳「もっと活躍」 不調時に立てた大目標「永久シード」へ残り11勝

 ウイニングパットを決め笑顔を見せる鈴木愛
 今季初優勝を果たした鈴木愛
2枚

 「女子ゴルフ・明治安田レディス・最終日」(10日、土佐CC=パー72)

 2017、19年の賞金女王が完全に復活した。首位から出た鈴木愛(29)=セールスフォース=が4バーディー、2ボギーの70で回り、通算16アンダーで初日から首位を譲らず、4日間大会では自身初となる完全優勝を果たした。昨年8月の北海道meijiカップ以来の通算19勝目で、19年大会以来の大会2勝目。6打差の2位に小祝さくら、高橋彩華、藤田かれんが並んだ。

 4日間同組だった小祝の追い上げに、鈴木は何度も冷や汗をかいた。それでも、初日から1度も首位に並ばれることなく、終わってみれば2位に6打差をつけるぶっちぎりの完全V。最終18番、4メートルのウイニングパットを沈めると、5月で30歳を迎える元女王はクラブを高く突き上げ、大きな1勝をかみしめた。

 「若い選手に圧倒されていますが、私ももうすぐ30歳。30代でももっと活躍できるぞ、というところを見せたい」

 パターの名手も最初はグリーンに手を焼いた。出だしの1番は4メートルを沈めて幸先良くバーディー発進も、2、3番は繊細な下り傾斜に苦戦して、近いパーパットを外して連続ボギー。最終日のフェアウエーキープはパー3を除く14ホールのうち5ホールだけで、ティーショットも乱れた。

 一時は小祝との差が2打に縮まった。そして、前半最後の9番パー4で最大の試練が訪れた。左に曲がったティーショットは木の下に打ち込み、続く第2打はラフに出すだけ。3打目はピンまで5メートルにつけるのが精いっぱいだったが、これをパーセーブしてガッツポーズ。前半37の苦しい流れは一転し、後半は3バーディーで後続との差をみるみる広げた。

 17、19年の賞金女王。だが、不調まっただ中の21年終了時にはゴルフを辞めることも決意した。見えない伸びしろに、結果が出ない自分。とことん悩んだが、周囲の人たちに『競技を続けて欲しい』と言われて奮い立った。ただ、続けるだけではモチベーションにつながらない。再出発にあたり、当時の南秀樹コーチと『永久シード』という大目標を立てた。

 目指すものがあると鈴木は変わった。以前は嫌いだった筋力トレーニングも、オフの12月は最低週4回、意欲的に敢行。「少しでも自分のゴルフが良くなるように、自由にさせてほしい」と、トレーナーや栄養士、周りのスタッフにもお願いして、自分で強化プランを考えるようにもなった。

 永久シードの30勝まで、あと11勝。直近の目標だった全米女子オープン(5月30日開幕)出場のための世界ランキングも、75位圏内にグッと近づく見込み。20代前半とはまた違った強さで、3度目のツアー女王も見えてくるはずだ。

 ◆鈴木 愛(すずき・あい)1994年5月9日、徳島県東みよし町出身。小学生のころはバレーボールをし、11歳の時にクラブを握った。中学3年の時に四国女子アマで優勝。倉吉北高では2年の時に中国女子アマを制覇した。ツアーでは17年に2勝、19年は7勝を挙げ、2度の賞金女王のタイトルを獲得。ツアー通算19勝。得意クラブはパター。家族は両親と姉、妹、弟。155センチ。

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