桂川有人 初日83位から大逆転!欧州ツアー制覇 再び世界へ「やっぱり強い選手と戦ってみたい」
「男子ゴルフ・ISPSハンダ欧州・日本トーナメント・最終日」(28日、太平洋C御殿場C=パー70)
欧州ツアーと日本ツアーの共催で大会は行われた。8位から出た桂川有人(25)=国際スポーツ振興協会=が7バーディー、ボギーなしの63をマーク。初日83位からの出遅れを挽回し、通算17アンダーの263で、ホストプロが逆転優勝を果たした。日本ツアー開催だった22年の同大会以来、2年ぶりのツアー2勝目。日本人史上6人目、今季だけで3人目の優勝で、26年までの欧州ツアーの出場権を手に入れた。欧州ツアー出場2連続優勝を狙った中島啓太は10アンダーの11位に終わった。
桂川が再び世界への切符を手に入れた。米ツアーを目指した23年の米下部ツアー挑戦は振るわず、不本意ながら1年で撤退。日欧共催ではなかった2年前とは違い、今度こそ正真正銘の欧州V。26年までの欧州ツアー出場権を獲得し、再び世界最高峰の米ツアーにつながる道を切り開いた。
「高いステージに上がるために練習してきた。これから欧州ツアーで戦えると思うとうれしい」。
砂上の窮地では2度も“神業”を魅せた。ティーショットをグリーン手前に落とした7番パー3、3打目が目玉になっていた9番はともにチップイン寸前のパー。ショートゲームが弱点だったが、昨秋から目沢秀憲コーチに教わり劇的に改善。元々、感覚派だったショットメーカーは、かつて松山英樹とコンビを組んでいた名伯楽に「一から教わった。企業秘密ですけど」と確かな技術をたたき込まれた。
後半は緊張との戦いだった。10番のバーディーで単独首位に立つと、「手が震えた」。大事なところで「こういう時に失敗する自分がいる」とマイナス思考に陥りがちだが、この日ばかりは振り払った。14番で2・5メートルを沈めると、15番はピンから10メートルの長いバーディーパットを成功。16番はグリーンの外から6メートルをねじ込み、勝負どころでの神懸かりな3連続バーディーで後続を突き放した。
昨季の米国挑戦は不発に終わり、今季は国内専念を掲げていたとはいえ、世界へ挑む気概は消えていない。昨年は久常が欧州経由で、米ツアー行きをかなえた。夢の舞台に一歩近づき、桂川は「やっぱり強い選手と戦ってみたいというのもあるし、小さいときからの憧れや夢もある」と目を輝かせた。
◆桂川有人(かつらがわ・ゆうと)1998年10月9日生まれ、愛知県清須市出身。クラブチャンピオンだった祖父の指導で4歳からゴルフを始める。西枇杷島中卒業後、通信制のルネサンス豊田高で学びながら単身フィリピンへゴルフ留学。帰国後は日大に進み、2018年中部アマ、日本学生などを制覇し、ナショナルチーム入り。22年プロ転向に転向すると4月の「ISPSハンダ-」でツアー初優勝を果たした。同年11月の米下部ツアー予選会を経て、23年は米国を主戦場とした。167センチ、70キロ。