渋野の14秒 5年ぶりメジャー制覇へ“奇跡のバーディー”カップに顔を半分のぞかせ止まったボール「これは待とう」

 18番でバーディーを奪い、笑顔で拍手に応える渋野日向子
 18番でバーディーパットを決める渋野
2枚

 「米女子ゴルフ・全米女子オープン選手権・第3日」(1日、ランカスターCC=パー70)

 5位から出た渋野日向子(25)=サントリー=が7バーディー、3ボギーで、第3ラウンドのベストスコアとなる66をマークし、通算3アンダーで4位に順位を上げた。首位とは2打差。2021年大会覇者で3位スタートの笹生優花は69で、通算2アンダーの5位。70の小祝さくらは通算1オーバーの6位。2022年大会覇者のミンジ・リー(オーストラリア)ら3人が通算5アンダーで首位に並んでいる。

 カップ際の14秒が、渋野に幸運をもたらした。14番パー4。トップ気味に当たった第2打はグリーン右奥のカラーに止まった。10メートルをパターで転がした第3打はゆっくりピンに向かい、カップに顔を半分のぞかせて止まった。

 ボールはゆるやかな下り傾斜と、ほんのわずかな追い風で、カップに入ろうかどうしようか迷うように揺れていた。そして14秒後、ボールは意を決したようにカップへ落ちた。

 奇跡のようなバーディーを見届け、照れくさそうな笑顔を浮かべた。ルールでは、カップ際のボールが落ちるかどうか確かめるのに許されるのは10秒間。だが、カップに歩み寄るのに必要な時間も別に認められている。渋野がカップのそばで待っていたのは10秒足らずだった。

 「ちょっと左に切れると思って打ったら、真っすぐ行ってしまった。全然入らないと思ってカップに近づいたら、ボールは半分浮いている感じだった。ちょっと待っていたら風に押された。いつもはさっさと打つタイプだけど、見に行ったらのぞいていたから『これは待とう』って。ツキがあった」。ホールアウト後も、運のよさに感謝した。

 第3ラウンドを終えても、トップが5アンダー止まりの難コース。この日の渋野はパット数がわずか27と、グリーンで活路を見いだした。11番で2・5メートル、18番は2メートルと勝負どころのバーディーパットをきっちりと決めた。14番を含めて7バーディーと、首位を猛追した。

 2019年の全英女子オープンを制した渋野にとって、メジャーの決勝ラウンドで優勝を争うのは久々だ。昨年は5つのメジャーのうち、シェブロン選手権の28位が最高で、予選落ちは3回を数えた。それでも、大舞台の場数は踏んでいるだけに「なるべく集中し、深呼吸してやった」と、精神面の揺らぎをプレーに出さなかった。

 首位とは2打差。最終日は最終組の一つ前を回る。「この位置にいると勝ちたい気持ちが芽生えてくる。今日は『これ決めなきゃ』というパットに吐きそうだった。明日も吐きそうになると思うけれど、泥くさく、楽しんでやりたい」。“しぶこ節”をさく裂させながら、その目は5年ぶりのメジャー制覇をはっきりと捉えていた。

 ◆全米女子オープンゴルフ 1946年に第1回が開催された。現在の女子の五大メジャー(全米女子オープン選手権、全英女子オープン、全米女子プロ選手権、シェブロン選手権、エビアン選手権)のうち、最古の女子メジャー。今年の優勝賞金は240万ドル(約3億7000万円)。日本勢では2021年に笹生優花が優勝した。

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