笹生優花 日本勢初のメジャー2勝目!3打差5位から大逆転V 「日本代表として」父にささげた涙の勝利「恩返しできた」

 父正和さんとトロフィーを手にする(共同)
 通算4アンダーで優勝し、トロフィーを掲げる笹生優花(共同)
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 「米女子ゴルフ・全米女子オープン選手権・最終日」(2日、ランカスターCC=パー70)

 3打差の5位から出た笹生優花(22)が5バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの68と伸ばし、通算4アンダーで2021年大会以来となる2度目のメジャー優勝を果たした。男子も含めて日本勢初のメジャー複数回制覇。22歳11カ月13日での全米女子オープン2勝目は最年少記録となった。米ツアー通算も2勝目。優勝賞金240万ドル(約3億7680万円)を獲得した。

 再び世界最高峰の戦いを制し、笹生はグリーン上で高々と優勝トロフィーを掲げた。長く、難しく、忍耐力が試される4日間を耐え抜き、たどり着いた2021年大会以来、3年ぶりの勝利と栄光。観衆からの歓声と拍手に包まれ、最高の笑顔がはじけた。

 「耐えながらも、楽しもうと思った。大会を通じ、非常にいいプレーができたことを誇りに思う」

 3打差を追いかける最終日。2番でバーディーを先行させたが、6番パー3は痛恨の4パットでダブルボギー。一歩後退した形で前半を終えた。ただ、サンデーバックナインでエンジン全開。12番で3メートルを沈め、13番パー5もきっちり伸ばして単独トップに躍り出た。パーを挟んで15番もものにすると、圧巻だったのは次のホールだった。

 この日は短く設定されたパー4の16番。フェアウエーウッドで放ったティーショットが、左のバンカー群を悠々と越えて1オンに成功した。後半四つ目のバーディーを奪い、後続を突き放した。今大会の平均飛距離は294・9ヤードで最終日1位。「ドライバーが非常に良かった」と持ち味の飛ばしが生きた。

 樋口久子も松山英樹も成しえていない、男女を通じて日本勢初の海外メジャー2勝目の大偉業。ただ、この大会で日本の国旗が頂点に立ったのは初めてになる。笹生は日本人の父・正和さんとフィリピン人の母の間に生まれ、21年大会の優勝はフィリピン国籍としての扱いだった。

 二つのルーツを持ち、1勝目は母の故郷、今回は日の丸を背負った。「21年にフィリピン代表として勝つことができた。母も喜んでくれた。今は日本代表として父にささげることができて幸せ。両親に恩返しできてうれしく思う」と涙で感謝を伝えた。

 普段から食事面などを支えてくれる正和さん。第3日の夜はステーキを焼き、最終日の朝はオムレツを作ってくれた。テキサス州に家を買い、複数のトレーニング機器を置くなど、万全の環境を整えてくれた。最終日も見守ってくれた父の献身に最高の形で応えた。

 日本勢4番手だった世界ランキングも、最上位付近まで上昇する見込み。24日付のランキングで決定する2番手までのパリ五輪代表争いにも大きく前進した。フィリピン代表として出場した東京五輪とは異なり、日本代表として初の金メダルをもたらすかもしれない。

 【笹生優花アラカルト】

 ◆生まれ 2001年6月20日、フィリピンで生まれる。父は日本人、母はフィリピン人で、両方の国籍を持っていたが、日本の国籍法により、21年11月に日本国籍を選択した

 ◆家族 両親と妹1人、弟3人

 ◆身長、体重 166センチ、63キロ

 ◆血液型 B

 ◆ゴルフ歴 8歳から

 ◆得意クラブ 1W

 ◆アマチュア戦績 14歳でフィリピン女子ツアー優勝。15歳で出場した16年全米女子アマ4強。フィリピン代表でジュニアの国際大会に出場し、同年IMGA世界ジュニアゴルフ選手権女子15-17歳の部で2位タイ。優勝は畑岡奈紗

 ◆プロ入り後 19年11月の日本女子プロゴルフ協会のプロテストに合格。プロ2戦目の20年8月、NEC軽井沢72で初優勝を果たすと、同月末のニトリ・レディースも制し2試合連続優勝

 ◆英語が堪能 フィリピンでの生活で、現地のタガログ語に加え、英語も得意。将来的に米女子ツアーでの活躍が目標で、高校卒業時には米国の大学進学を考えたほど

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