15歳・松山茉生 最年少V 金谷拓実の17歳51日を大幅更新 有言実行「優勝してゴルフ人生変える」
「ゴルフ・日本アマチュア選手権・最終日」(28日、広野GC=パー70)
松山茉生(まお)=福井工大福井高1年=が、史上最年少となる15歳344日で優勝し、2015年に優勝した金谷拓実の17歳51日を更新した。悪天候のため最終ラウンドは中止となり、3日間を終えて首位で並んでいた松山と山下勝将(21)=近大=のプレーオフ(PO)のみを実施。2ホール目の11番で松山がパーを決め、山下を振り切った。男子ゴルフ界の期待を背負う、新たな「マツヤマ」が誕生した。
「きょう絶対に優勝して、オレはオレのゴルフ人生を変える」-。朝食時、両親にそう宣言して臨んだ山下とのプレーオフ。松山はその言葉通り、見事に最年少優勝を決めてみせた。
「もう緊張して緊張して、ずっと体が震えてました。あんまり緊張し過ぎて、プレーオフが始まったら、それほどでもなくなったほど」
たった2ホールのプレーオフ。それでも伏線もあり、ヤマ場もあった。まず10番。2打目をお互いグリーンに乗せ、距離もほぼ同じ2メートル。先に山下がバーディーを決め、松山にプレッシャーをかけた。重圧で手が震える中、松山もバーディーパットを入れ返した。
続く11番で、フェアウエーから打った山下の3打目はグリーン右のエッジに残った。対して、ティーショットをバンカーに入れた松山はピン手前10メートルに2オン。バンカーから果敢に攻めた松山に対し、山下はグリーンの左に外すのを嫌がり、難しい右に打ってしまった。
この2打目で事実上、勝負は決した。山下はカラーからの4打目も外し、松山は2メートルのパーパットを慎重に入れ、激闘が終わった。国内女子ツアーで昨季まで2年連続で年間女王に輝いた山下美夢有の弟を退け、従来の記録を塗り替える最年少での金字塔。高校1年生での日本一も初の快挙だ。
先週のトヨタジュニアW杯の個人戦に続く「2週連続優勝」。日本代表として初めて挑んだ国際大会での優勝経験が、大器を目覚めさせた。「あの優勝で顔つきが変わりました。いい意味で覚悟ができたというか。わが子ながらびっくりしてます」と、応援に駆け付けた母の浩美さん(49)が言う。
こだわるのはドライバーの飛距離。平均で310ヤードを超えるが、まだ15歳。まだ伸びる。世界規格の「マツヤマ」はここにもいる。
◆松山茉生(まつやま・まお)2008年7月20日、名古屋市出身。父・阜司さんの影響により5歳でゴルフを始め、白沢小6年時の21年3月に全国小学生ゴルフ春季大会で優勝。守山北中2年だった22年の中部ジュニアを制し、23年の日本ジュニアは2位。24年に福井工大福井高に進学した。ベストスコア63、得意クラブはドライバーで平均飛距離は310ヤード。182センチ、88キロ。名前の由来は「茉には穏やかという意味があり、そんな生き方をしてほしい」と祖父の卓市さん(85)が名付けた。