安田祐香 亡き師匠・坂田さんに捧ぐ悲願のツアー初V 言葉詰まらせ涙「たくさんの人に恩返しできた」
「女子ゴルフ・ミヤギテレビ杯ダンロップ・オープン・最終日」(22日、利府GC=パー72)
悪天候で最終ラウンドは9ホールに短縮され、単独トップから出たプロ5年目の安田祐香(23)=NEC=が4バーディー、2ボギーとスコアを伸ばし、通算9アンダーでツアー初優勝。7月に亡くなった師匠・坂田信弘さんに悲願のVを捧げた。大会連覇と2週連続Vが懸かった岩井明愛(22)=ホンダ=は6位。最終日はセカンドカットが採用され、決勝ラウンド進出が決まっていた72人のうち上位37人がプレーした。
遅すぎたようにも思えたプロ初優勝。大歓声にクールに応えた安田が、泣いた。テレビインタビューで「優勝争いしても、なかなか勝てなかった…」と話し始めると、言葉に詰まって涙。「この試合で勝ててうれしい。泣かないと思ってたけど…。たくさんの人に恩返しできてうれしいです」。大雨での中断後も見守ってくれた東北のギャラリーの前で万感が込み上げた。
スタートの10番。ティーショットを最終組では一人だけフェアウエーのど真ん中へ運んだ。「ティーショットは、その後もほとんどフェアウエーキープ。ショットの調子もすごくよかった」。11番で10メートルのバーディーパットを沈め、16番パー4の第2打は9番アイアンでピンそば30センチにつけるスーパーショット。「いつもはミスしたらどうしようとなりがちだけど、きょうは落ち着いてプレーできた」と勝利を決めたバーディーを振り返った。
悪天候下でのハーフ34は、アマチュア時代から築き上げてきた集大成とも思える結果だった。7月下旬、師匠の坂田信弘さんが亡くなった。「できればテレビで見てほしかったと思います」と天を仰いだ。
7月に海外メジャーのエビアン選手権で優勝した古江彩佳とは兵庫・滝川二高の3年間、同じクラスだった。アマチュア時代は安田がナンバーワンと呼ばれていたが、西村優菜らを含め、プロでは同学年に先を越された。
昨年は2位が2度で今年も1度。勝てない悩みに苦しみながらも腐らず、163センチ、53キロと細身の体をトレーニングで鍛えてきた。ようやく踏み出した本格的な第一歩。「比べられているのも悔しくて、でも頑張る源にもなった。プロになってなかなか成績を残せなかったけど、ずっと応援し続けてくれて、ありがとうございます。スピーチがヘタクソですいません」と最後は笑顔でファンに語りかけた。
◆安田祐香(やすだ・ゆうか)2000年12月24日、神戸市出身。姉でキャディーの美祐さんの影響で7歳からゴルフを始め、小学3年時に古閑美保、上田桃子らを輩出した坂田塾に入門。滝川二高では古江彩佳と同級生で、全国高校ゴルフ団体2連覇。17年日本女子アマ優勝、19年アジアパシフィック女子アマでは日本人初の優勝を果たすなどアマチュア時代は「プラチナ世代」をけん引し、19年にプロテスト合格し、23年に初シードを獲得。NEC所属。163センチ、53キロ。