佐藤心結 号泣初V 果たしたアマ時代21年の雪辱「本当に苦しくて」今季17度予選落ち乗り越えた

 「女子ゴルフ・スタンレー・レディースホンダ・最終日」(6日、東名CC=パー72)

 首位から出た佐藤心結(みゆ、21)=ニトリ=が5バーディー、1ボギーの68をマークし、通算15アンダーで、涙のツアー初優勝を果たした。アマチュア時代に出場した2021年大会で、渋野日向子に敗れた舞台で雪辱。2003年度生まれの“ダイヤモンド世代”6人目のツアー優勝者となった。2打差の2位に河本結と尾関彩美悠。今季8勝目を狙った竹田麗央は、さらに1打差の4位だった。

 悔し涙はうれし涙に変わった。最後の短いパットを沈めると、佐藤は天に両手を突き上げた後に、すぐさま顔を覆って号泣した。21年大会で渋野に敗れてから、ようやくつかんだ初勝利。感情があふれ出して止まらなかった。

 「今年は本当に苦しくて。初優勝もシードも取れないんじゃないかって不安に駆られて。今日も苦しかったけど、最後に勝てたのが自分の中で信じられない。一気に肩の荷が下りた」

 歯車は3年前の激戦から狂い始めた。「今思えば自信があった」というルーキーシーズンの22年は、堂々の初シードを獲得した。しかし、以降は成績が下降線をたどり、自信を喪失。「ポジティブな考えが出ない。クエスチョンマークだらけ」。今季は8月までに17度の予選落ちを繰り返した。

 シンプルな思考で打てず、ハザード(障害物)ばかりが見えていた。救ってくれたのは、ツアー通算7勝の米山みどりの助言。8月の日本女子オープンの予選会で『素振りから足を使うように』と言われた。ショットの状態が上向くと徐々に心に余裕が生まれ、成績も右肩上がりになった。

 この日は2番でボギー先行。折り返し時点では首位と3打差をつけられ、逆転は厳しく感じたという。それでも14、15番と立て続けに伸ばし、首位に追いつくと、3年前のV争いが頭に浮かんで「楽しくなってきた」と前向きに。流れに乗って17番まで4連続バーディーとし、一気の逆転劇で初の優勝を手にした。

 03年度生まれの“ダイヤモンド世代”。同世代の竹田、川崎らの存在は成長に欠かせない。「絆じゃないけど、本当にみんなと切磋琢磨(せっさたくま)してやってきている。同世代は本当に宝物」。世代から、また輝かしい優勝者が生まれた。

 ◆佐藤心結(さとう・みゆ)2003年7月21日、神奈川県小田原市出身。7歳でゴルフを始め、明秀学園日立高に進学した。21年の日本女子アマは3位。同年10月のスタンレー・レディースホンダでは渋野日向子らとプレーオフの接戦を演じて2位。同年11月のプロテストに一発合格した。スポーツ歴は陸上の砲丸投げ。趣味は長風呂。161センチ、57キロ。

 ◇2021年大会VTR 明秀学園日立高3年時にアマチュアで出場。初日に67を出して2位、2日目は69の通算8アンダーで工藤遥加、小祝さくらと並んで首位に立った。最終日は70をマークしたが、渋野、木村彩子、ペ・ソンウに追いつかれて4人のプレーオフ(18番パー5繰り返し)に突入。2ホール目の第3打はピン方向への完璧なショットだったが、不運にもピンに直撃。長いバーディーパットを決められず、渋野が優勝した。

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