金谷拓実が初の賞金王に 単独3位で大接戦制した「最後は気持ち」雑念シャットアウトで執念頂点

 賞金王のボードを掲げる金谷拓実
 逆転賞金王を決め、大会スタッフと笑顔で握手を交わす金谷拓実(撮影・開出牧)
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 「男子ゴルフ・日本シリーズJTカップ・最終日」(1日、東京よみうりCC=パー70)

 4位から出た金谷拓実(26)=Yogibo=が1イーグル、4バーディー、3ボギーの67をマークし、通算9アンダーの単独3位。今季獲得賞金で、大会前は首位だった平田憲聖を逆転し、初の賞金王に輝いた。平田は17位。2位から出たショーン・ノリス(南アフリカ)が68で回り、通算12アンダーで逆転優勝し、外国人選手初の国内メジャー3冠に輝いた。

 気迫のこもった会心のファーストパットが10メートル先のカップに消えると、金谷は拳を握った右腕を勢いよく振った。「最後は気持ちだと思ってプレーしていた」。17番のイーグルで決定づけた初の賞金王。平田と大接戦だったキング争いは、詳細な記録が残る1985年以降で、2017年の宮里優作以来となる史上3人目の最終戦での逆転劇だった。

 プロ5年間の経験で、いつしか金谷の中の賞金王の重みは変わっていた。18年のアジアアマ優勝、19年のアマチュア世界1位など、さまざまな勲章を引っ提げて20年にプロ転向。新人時代は「賞金王が通過点」だった。

 だが、ツアーNo.1の称号は思っていたよりも簡単ではなかった。ナショナルチーム時代の後輩である中島を筆頭に、蟬川や今季は覇を競った平田ら、年々ライバルは増えていく。昨季は中島が賞金王に輝く中、自身は3位。賞金3位までの欧州ツアー参戦資格を得たが、欧州に専念できる賞金王と比べて、同順位で出場できる試合数は片手で数えるほどだ。

 「去年から重みを感じ始めていた」と痛感した賞金王への思いが執念を生んだ。だから、今季は不調だった夏場も「根性」で練習した。雑念が入る賞金レースの情報は、シーズンを通してシャットアウト。全ては「どんな状況でもベストを尽くせるように」と目の前の一打に懸けるためで、賞金王争いの行方を知ったのは、最終戦最終日が終わったアテスト会場だった。

 念願のタイトルと欧州ツアー切符を獲得。だが、来季のプランは「全く分からない」という。休む間もなく、次週は米下部ツアーの2次予選会に出場。金谷のシーズンはまだ終わっていない。

 ◆金谷拓実(かなや・たくみ)1998年5月23日、広島県呉市出身。5歳でゴルフを始め、広島国際学院高2年の15年に日本アマチュア選手権で当時最年少となる17歳51日で優勝。17年に東北福祉大に進学した。18年10月にはアジア・パシフィック・アマチュア選手権を制し、19年8月には世界アマチュアランキング1位に。両偉業は松山英樹以来、日本勢2人目だった。20年にプロに転向し、同年11月のダンロップ・フェニックスで初優勝。国内ツアー通算7勝。172センチ、75キロ。

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