【100歳プロ内田棟 6】東京五輪までは元気に過ごしたい
100歳を迎えてもプロゴルファーとして探求心を持ち続けている内田プロ。今年は腰痛もあって、コースでのプレーは控えているが、毎日のパター練習、足腰の強化トレーニングを欠かさないのは、来年のラウンドを見据えてのものだ。自宅の庭にネットを張り、アプローチやショットの練習にも励んでいる。
よく見るテレビ番組はCS放送のゴルフネットワークだ。特に海外ツアーの中継を熱心に見ている。好きな選手はロリー・マキロイ(英国)とフィル・ミケルソン(米国)。「2人ともクセのない、とても素直なスイングをしているところがいいね」と内田プロ。
長女のとも子さんは「ゴルフ中継を見ながらよく独り言を言ってるんですよ。『あの打ち方じゃ曲がる』とか『コチンと打つからパターが入らないんだ』とか。自分のゴルフと重ね合わせながら今でも勉強しているんだと思います」と話す。
自宅にもクラブ工房があり、クラブがしっくりこない時などは工房にこもって、ヘッドに鉛を張ったり、グリップを替えたりして調整する。最近も知人が捨てる予定だった古いウエッジを譲ってもらい、シャフトを替えて使えるクラブによみがえらせた。常に身の回りにはクラブやボールを置き、触っていないと落ち着かない。朝から晩までゴルフ漬けの日々を送っている。
「もう少し腰がしゃきっとすればラウンドに行けるんですけどね。試合に出たい気持ちもあります」。レッスン活動も続けていく考えで、今でも「ゴルフを教わりたい」という人からの問い合わせがあるという。
これからの目標を尋ねると、「2020年の東京オリンピックまでは元気に過ごしたいね。オリンピックのゴルフは霞ヶ関CCじゃなくて、(自分が住んでいる)軽井沢あたりでやってくれれば、観戦にも行けるんだけどね。軽井沢は涼しいし、素晴らしいゴルフ場もたくさんありますよ」。そう言って笑顔を見せた内田プロ。日本最高齢の100歳プロゴルファーは、これからも愛してやまないゴルフととともに人生を歩み続ける。=おわり=
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内田 棟(うちだ・むなぎ)1916(大正5)年10月9日、長野県軽井沢出身。10歳の時に旧軽井沢GCでキャディーのアルバイトを始めたのがゴルフとの出合い。71年、55歳の時にプロテストに合格。トーナメントプロとして活躍する一方で、コース設計やレッスン活動もこなす。主な戦績は73年の日本プロシニア3位。ホールインワンは5度。息子は初代シニア賞金王の内田袈裟彦プロ(09年死去)。現在は長野県御代田町で妻・政子さん、長女・とも子さんと3人暮らし。