18番、バーディーを奪いギャラリーの声援に応える上井邦浩=美奈木GC
4アンダーの好成績で初日を終えたアマの徳永智也=美奈木GC
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上井 9バーディー首位発進
「2009兵庫県オープン・ゴルフトーナメント・第1日」は8月4日、兵庫県三木市の美奈木ゴルフ倶楽部(7089ヤード、パー72)で行われ、
今季国内ツアーのバーディー率で、賞金ランク首位の石川遼を上回ってトップの数字を残している上井邦浩(26)=三好CC=が、9バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの66で単独首位に立った。1打差の2位は谷岡達弥(36)=フリー。アマチュアでは徳永智也(19)=佐用、藤田晃規(22)=推薦=の若手2人が4アンダーの68で並んだ。
“国内バーディー王”大爆発
今季国内ツアーの“バーディー王”が、称号に恥じないラッシュを見せた。1ラウンドあたりのバーディー獲得率で2位の石川遼(3・97)を抑えトップに立つ上井(4・03)が、9バーディーの大爆発。短期決戦の初日で堂々の単独首位に立った。
序盤こそ出入りの激しいゴルフだったが、中盤以降は得意のアイアンがさえわたった。9、10、11番と3連続で完全に流れに乗ると、17、18番も連続バーディーでフィニッシュ。最後までその勢いが途切れることはなかった。
05年のプロ転向以降、なかなか芽が出ない日が続いたが、07年1月に阪神の久保康生投手コーチの長女・友加理さんとの結婚を機に一気に才能が開花した。昨年はトップ10に3度入り、初めてシード権を獲得。今季もここまで賞金ランク24位と、健闘している。
好調の要因は何と言っても今年1月に誕生した長男・翔太くんだ。「夜、遊ばなくなりましたね。何より怒らなくなった。ゴルフが悪くても」と目尻を下げる。5番では寄せきれず、3パットで痛恨のダブルボギー。しかし、気持ちは揺るがなかった。すぐさま7番でバーディーを取り返し、後半のラッシュにつなげた。家に帰った時に笑顔で迎えてくれる息子の存在が何よりの“精神安定剤”になっている。仲間たちから「ふてくされの上井」と揶揄(やゆ)されていたが、「いやいや今は『仏の上井』ですよ」と、サラリと受け流した。
大会初優勝が視野に入ったが「気合を入れると空回りする。暑さで気が抜けてるぐらいがちょうどいい」。公私とも絶好調の“バーディー王”はあくまで自然体のまま、戴冠への道を突き進む。
連覇へ吉兆!?孔明4差12位…暑さに苦戦も“まくり”宣言
昨年覇者の小田孔明(フリー)が6バーディー、4ボギーと出入りの激しいゴルフで12位につけた。「ティーショットがよう曲がった。フェアウエーにいけばバーディーチャンス。それ以外は森の中」と、ドライバーの不調をぼやいた。
原因は暑さだ。2週続けて北海道でのツアーを転戦したばかり。「気温が向こうとは10度違う。こんだけ暑いと頭がポーッとして、集中力がなくなっちゃう」と苦笑いを浮かべた。それでも昨年は5打差を逆転して初出場初勝利を果たしただけに「まだ4打差でしょ。去年よりましだね」と連覇への自信もある。
「いつも最初悪くて、後半にガーッと伸ばす形だし。上が勢いのある上井だから、7つ8つは伸ばしたいね」と猛チャージ宣言。再び“まくりの孔明”を見せつける。
あるぞ!徳永 史上初アマチュアV
アマチュアの徳永が68で回り、首位と2打差の3位発進を決めた。6、7番で連続バーディーを奪うと、後半も10、17番で1メートルにつけ楽々バーディー。アマの首位に立ったが「優勝を狙っているので、それは当然」と涼しい顔だ。
昨年の日本アマでベスト4に入り、今春クラーク国際高を卒業。現在は今秋のQT突破を目指し、地元の兵庫県龍野市で練習に励む毎日だ。ただ「教えてもらうのは苦手なんで」と指導は全く受けていない。高校時代もゴルフ部に所属していたが「一人だけみんなから外れたところでやっていた」。12歳でゴルフを始めて以来、徹底して自己流でやってきた。
「ショットはいいので後はパター次第」と、大会史上初のアマチュアVへ意欲十分。練習グリーンに向かい、黙々と最終調整を行った。
星野 好位置6位
神戸に拠点を置く地元の星野英正(フリー)は5バーディー、2ボギーの69で6位の好位置につけた。ただ「3メートル以内のパットを6回以上外した。暑いせいか集中力がない」とさえ渡ったショットとは一転、苦しんだパッティングに渋い表情を浮かべた。05年以来4年ぶりの出場。前回はプレーオフの末、2位に敗れているだけに「調子自体はいいですよ」と、逆転Vを見据えた。
谷岡 ニヤリ2位
谷岡達弥(フリー)が67で回り「久々の60台です。長いパットが3つぐらい入って、ノっていけた」と満面に笑みを浮かべた。首位と1打差の2位につけ「上井とは同じ中部出身で(ツアーでの)活躍に刺激を受けていた。くっついていきたい」と闘志。「本当に7月はボロボロだったんで、あしたも頑張っていいきっかけにしたい」と逆転Vを見据えた。
山下 我慢の12位
07年の大会覇者・山下和宏(ザ・サイプレスGC)はパットに苦しみながらも2アンダーの12位に踏みとどまった。先週のサン・クロレラでは優勝した石川遼らとし烈な優勝争いを展開。結果は4位に終わったが、2日目、3日目と石川と最終組で回り「ああいう注目される中でも自分の力が出せるようになってきた」と、自信を深めた。2年ぶりの優勝に向け「前半のうちにスコアを伸ばせれば、楽しみ」と目を輝かせた。
◇リーダースボード◇
▼3位・藤田晃規(クラーク記念国際高の後輩にあたる徳永とアマのトップ)「パターの調子が特に良かった。プロテストの2次も通ったし、最近の調子は悪くない。(徳永)智也は後輩だけど、戦績は雲の上の存在。2日目も伸び伸びやりたいですね」
▼6位・上平栄道(首位と3打差)「先週ぐらいから気持ちよく振れてないけど、無理しないように慎重にできたのが良かったのかな。スコアは出るコースだと思う。あすもショットを試行錯誤しながら頑張ります」
▼6位・小黒貴志(昨年首位発進も逆転負け)「リベンジの思いはある。やっぱり悔しかったからね」
▼18位・井戸木鴻樹「北海道帰りで、アイアンの距離感が合わなかった。あすはそんなことないだろうし、楽しみがないことはない」
▼28位・奥田靖己「来年からはシニアなんで、今回が最後。この大会は連覇もしたし、何とかもがきたいね」
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