今井貞美が見る 松山と石川の差【中】

 「米在住レッスンプロが考える松山と石川の差」=中=

 前回はゴルフを上達させるためには、まず本人の意識が大切だというお話しをしましたが、今回は松山と石川の数値を大ざっぱに比較してみましょう。

 2014年度のデータ(数値)には、ドライバーから寄せ、パット、ラフ、バンカー、フェアウエーの分析結果が出ています。すべてを見ると、彼らがどのようなゲームをしているのか想像ができますし、平均数値よりはるかに低いものがあれば、それが勝利に結びつけない原因でもあるわけです。

 それが分かれば、その箇所が他の悪い数値に影響していることも想像できます。その一つ(場合によっては複数あることも…)悪い箇所を選びだして練習、改善をしていくことで上達が可能になります。それを全く考えない人がいるとは思えないのですが、少なくとも石川は改善せねばならないことがあるのに、それができず、上達していないのです。なぜでしょう?

 ドライバーの飛距離は松山も石川も似たようなものですが、キャリーが松山282・2ヤード(45位)、石川273・8ヤード(95位)。これは何を意味するのでしょうか?コースマネジメントに大きく関係しますよね。横が池で曲がっており、どこなら越えられるのか、A地点の池とその周辺の木立を越えてショートカットでドライバーを使うのか、あきらめるのか?

 石川の一つの大きな問題はドライバーの正確性だと考えられます。フェアウエーキープ率は、2013年55・48%(159位)、14年53・26%(169位)、15年52・98%(233位)。松山は13年63・74%(アマ)、14年61・92%(79位)、15年66・67%(67位)です。

 石川のドライバーがこれだけ安定しないのは、スイングで同じ動作ができないような要因があるということ。ぱっと見では、下半身が動き過ぎ、おへそ周りの回転時に上体が起きてしまう(アーリーエクステンション)で、方向が暴れます。振り過ぎ、動き過ぎなのでコネクション、タイミングが狂ってしまうのです。

 もっと下半身を鍛えてど~んと大地を踏むように踏ん張り、下半身が地面方向に向く時間が長くなるとインパクト後のフォロースルーが長くなりボールの方向も安定します。ドライバーの正確性が悪いことで2打目が大きな影響を受けます。

 数値にもしっかり出ています。

 ◆ラフからパー、あるいはパー以下オン率(スクランブリング)=石川13年49・29%(165位)、14年50・33%(148位)。これに対し、松山は13年53・13%(アマ)、14年58・02%(43位)。◆ラフからパーオンしたボールのピンまでの距離=石川13年13・1メートル(114位)、14年13・75メートル(124位)。松山は13年15・3メートル(アマ)、14年12・8メートル(39位)と差が出ています。

 そして、それらが積み重なった上の◆平均スコア=石川13年71・515(147位)、14年70・980(108位)。松山は、13年68・774(アマ)、14年70・083(20位)。

 もう一つ、14年のデータを紹介します。◆スクランブリング30ヤード以内=石川21・18%(156位)、松山39・22%(9位)。スクランブリングとはいわゆる寄せワンです。これにパットがうまければ”鬼に金棒”です。アプローチ技術とパットが一緒になって効果が出ます。これが最も重要なスコアメークのポイントです。

 石川は30ヤード以内の寄せを徹底的に練習するべきでしょう。30ヤードが難しいのなら、10ヤードから始めること。チップ&ランでいろいろなクラブを使っているのでしょうか?ボールを上げてベタピンにすることは、転がしてするよりはるかに難しく確率が低いこと。なぜチップ&ランが安全か?これは次回に説明します。 (Sadami USLPGA Class A Instructor)=つづく=

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 ★今井貞美(いまい・さだみ)1950年6月8日、東京都生まれ。84年に夫の仕事でカナダに渡り、93年から米サンディエゴで生活。45歳の時にゴルフの魅力を知り、それからわずか3年半でPGAティーチング・プロテストに合格。3年間PGAに在籍した後、LPGAのティーチングプロに移籍。米国内をはじめ日本でも指導を行い、小西健太(東北福祉大)らを育てている。

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