今井貞美 お願い!松山、石川【下】

 「だから、お願い!松山、石川」=下=

 さて、日本人選手を応援しに行ったゴルフファンが、感じ悪かった!態度が横柄でがっかりした!取り巻きが威張っている!などなど憤慨していることが多く、驚きます。アメリカツアーでは、ガードマンがいたのはタイガー・ウッズだけでしたので、石川、松山両選手にガードマンは必要なし!です。

 アメリカのツアープロは“ファンあってのツアー”という強い認識があります。ゴルフファンを大事にし、楽しませることでゴルフ業界全体も活性化されるのですから、ツアープロも妙技を披露できるように、練習とファンサービスで将来のゴルファーをどんどん増やす!これぞプロ意識だと思います。

 だから、ファンはお金を払ってでも素晴らしいショットや神業を見たい、好きな選手と交流の場でサインやツーショットを楽しみたい-と観戦に行くのです。以前、マッチプレーの試合で、ジャスティン・レナードが負けて引き揚げてくる途中、歩み寄ったファンがペンと色紙を差し出したら嫌な顔一つせずにサインをしました。私はその無神経なファンもちょっとどうかなと思いましたが、レナードの態度が素晴らしく「プロだなぁ」と好きになりました。

 2月のファーマーズ・インシュランス・オープンでのリッキー・ファウラーも最終日79という最悪のスコアだったにもかかわらず100人ものファン一人一人にサインやツーショット撮影にこたえていました。ファウラーは2年ほど前のツアーで18番の1打目を右の木立ぎりぎりのところに打ち、バタバタしている時、8歳くらいの少年がゴルフの手袋とペンを出してサインを頼みました。ファウラーはトラブル真っ最中なのに、サインをして渡しました。ここまでする!?。すごすぎる。

 だから…松山、石川両選手にもお願いします。「頑張って!」の言葉が聞こえたら、そちらを向いて、せめて“はい!”とか“ありがとう”の、返事をしてください。返事もなく無視されたという怒りの声が多いのです。

 (1)声が小さくて聞こえていない(2)試合のことで頭いっぱいで聞こえているけれど、無視したい(3)プレーに集中することでいっぱいで、返事などしている余裕がない(4)面倒臭い…その理由はさまざまですが、タイガー・ウッズがデビューして既に猛烈に強かったころ、ジャック・ニクラウスが言いました。「タイガーの人生はこれから始まるんだ。結婚して家庭を持ち、子供を育て、その中で勝てるゴルフを続けて行くことの大変さを人生と共に学んでいくんだよ」と。

 本当だ!松山、石川両選手にも、ニクラウスの言葉をそのまま贈りたい!ゴルフコースでマナーの悪いことは見苦しいし、やってはいけないことと覚えてください。子供たちはあなたたちを見てゴルファーになっていくのですから、正しい態度を見せてください。悪いショットが出てしまった時にコースやクラブに当たり散らかすのはプロとしてあるまじき態度と思います。それに、自分に怒り狂うことでリズムが乱れ、良いショットが出ないことは百も承知でしょう。

 そんな人のことを気にして強い選手にはなれない!!なんて思う人がいるようですが、ツアーは、強くて優しい選手ばかりで、むしろお行儀の悪い選手はまれなのです。我慢を重ねて強い選手になっていくのです。松山、石川両選手、忘れないでください!ファンあってのツアープロ!ファンを大切にしてください。お願い致します!!

 (Sadami USLPGA Class A Instructor)=おわり=

 ★今井貞美(いまい・さだみ)1950年6月8日、東京都生まれ。84年に夫の仕事でカナダに渡り、93年から米サンディエゴで生活。45歳の時にゴルフの魅力を知り、それからわずか3年半でPGAティーチング・プロテストに合格。3年間PGAに在籍した後、LPGAのティーチングプロに移籍。米国内をはじめ日本でも指導を行い、小西健太(東北福祉大)らを育てている。

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