デーは最強パット!ジョンソン粗さ魅力
16日に終了した「PGA Championship(全米プロ)」に、今季3つ目のメジャータイトルがかかったジョーダン・スピースは惜しくもそれを逃したけれど、優等生らしい素晴らしい試合を見せてくれました。タイトルは逃したけれど、タイガー・ウッズに次ぐ最年少(22歳)で世界ランキング第1位になりました。
スピースの2013年デビューからあっという間の世界ランク1位。今シーズンはベスト10位内が14回、そのうち優勝4回、2位4回という安定性は“やはり、うまい!”と言うしかないような成績です。
スピースのゴルフは寄せ、パットが非常にうまい、パーオンを外しても見事にパーを拾う腕があり、平均飛距離は292ヤード。飛ぶ方ではないけれど、方向性の良いスイングをしています。ですから、ジェイスン・デーより20ヤード短いドライバー飛距離でもスコアをつくることができるのです。
要するに、ショットが大きく乱れない。インパクト後クラブをリリースせずに、クラブフェースをそのままターゲット方向に振り抜いています。これは、方向性が非常に良いのですが、コックを外し、ヘッドの遠心力でヘッドスピードを上げて打つのと比べて飛距離は落ちるのです。インパクトからフォローにかけてスピースの左腕は真っすぐに抜くように動いています。寄せがうまいのも、この動きで方向性が正確でターゲットに寄せているのでしょう。もちろんその他の技も持ち合わせての世界1位なのですが…。
スピースは、さらにメンタルコントロールが非常に優れている、しかも、方向性の良いショット、寄せ、パットの強者とくれば、優等生。それでも本人が一番嫌う、若干弱いパットストロークが多かったのは、メジャー独特のプレッシャーかもしれません。
大会は、思わず「うまい!」と叫びたくなったデーが初メジャーを取り、誰もが彼に大きな拍手を送った18番グリーンでした。デーは、313ヤードでランク3位の飛ばし屋。飛ぶだけではなく、寄せ、特にパットはかなりうまい選手で3~4フィートは外しません。25フィートはPGA平均の2倍の確率で入ります。6~8フィートをほとんど外さない。やはり、勝利のカギはパットです。
いつも初日は良いけれど、後半スコアが乱れメジャー獲得が先送りになっているダスティン・ジョンソン。ドライバー飛距離318ヤードでPGA1位で華やかなゲームを見せてくれるので人気があります。昔のジョン・ディリーに通じる飛ばし屋で挑戦的なゲームをします。飛ぶだけに方向は暴れてしまい、メジャーも手の届くところにいるのですが…。今までにも、ペナルティーをもらったりと、いろいろやってくれています。
しかしながら、いつの時代でも、飛ばし屋は何かを起こす可能性があるので、アメリカの観客は大喜びです。やはり、シュル~ンと飛んでいく弾道を見るとわくわくします。
ジョンソン、デーの両者は、リリースをしながら大きなフォロースルーで飛距離を伸ばします。特に、ジョンソンは、193センチのしなやかな体を十分にねじり、前傾姿勢の長いパワフルなスイングです。
スピースの優等生的なゴルフに比べ“間違いも起こすよ!”とワイルドなジョンソンも人気があります。どんどん潔く攻めていく攻撃ゴルフは、観客を喜ばせてくれます。
ジョンソンは、ドライバーだけではなく、すべてのショットの方向性をまとめること。寄せ、パットの腕を磨くとメジャータイトルは、向こうから歩いてくるのでは?とも思います。今のところ、ゲームに粗さが出ています。今後のダスティン・ジョンソンに注目!!です。
(LPGAインストラクター・今井貞美)