プロを目指すゴルファーの“目標”
先週から、アメリカPGAツアーの“Q School”(予選会)が始まりました。NCAAの大会で優勝した大学ゴルフ部のエースや現役ラテンアメリカPGAなど世界中からプロやアマが集まります。先月は、Q Schoolを受けるうまいゴルファーたちが頻繁にレッスンを受けていました。ラテンアメリカPGAの現役や大学ゴルフ部で何度も賞を受けた友人もそうでした。
そんなレベルなのに?いいえ、レベルが高いからこそ、プロの指導が必要なのです。ここがまた日本とも違うところでしょうか。筆記テストの点で40点を50点にするのは簡単ですが、90点を100点にするのは大変なのです。
ゴルフも一緒なのですが、もううまいのだから習う必要はない。ただ練習するのみ-などと思い込み、人に教えたりしている人はいませんか?。人に教える前に自分のゴルフを見つめて下さい。技術のみならず、ハードルが高い人ほど、プロの力で何をすれば上のレベルになれるのか?あるいは何が間違いなのか?を学ぶことが必要なのです。
現役ツアープロのジェイソン・デイやダスティン・ジョンソンほか、バッバ・ワトソン以外ほとんどがプロにレッスンを受けているのです。それでは、プロテストを受けるレベルとは?。そういうゴルファーは、次のような目標を持っています。
(1)試合で67~69を出す。OBやハザードに行ってしまうこともあるので、バーディーを出来るだけ取り、貯金しておく。
(2)18ホールでバーディー平均5個取る。パー5が一番バーディーを取りやすい。なぜ?一打失敗してもチャンスがある。刻んで取るか?飛ばして取るか?
(3)18ホールのパット数平均28。寄せワンで決めるとワンパット。ビタピンでワンパット、いくらでも少なくなります。
(4)寄せワン率=18ホールで5~6ホール。58度ウエッジ1本でアプローチはこれだけ!と自信満々で言っている人、大きな勘違いをしています。多種多様なアプローチ技術を身に付ける必要があります。これが出来ないとプロは無理。
(5)パーオン率=12/18。正確な方向性と飛距離の良い弾道を、体重移動とバランスの良いフィニッシュで、何回も繰り返し同じ動きができるスイングを身に付けること。
(6)ドライバー飛距離=290ヤード。アメリカで、一番最初に教える体重移動とバランス良いフィニッシュで、何とか確保したいアメリカPGAツアー平均飛距離。肉体的にハンディがあれば、寄せワンの技術を磨くこと。ロングヒッターより、寄せワン名人の方が、賞金稼いでいるように思います。
この目標で、ハンデキャップ8が1年も練習すれば2になり、その後、ゴルフの大変な時期に入るのです。この数字にするためにいろいろな問題を解決していかなければ「ハードルが高すぎる!」の一言で終わることになります。
18ホール終了後、生徒にまず質問することは(1)寄せワンで拾ったホール数は?(2)パーオンできない距離は平均何ヤード?(3)グリーン外れた時のピンまでの平均飛距離は?(4)パット数の平均は?(5)ドライバーのキャリーは?
ほとんどの生徒はこの質問に戸惑います。それでは何を気にしてラウンドしているのでしょうか?何も気にしていません。「今日はパットがよく入ったから良かった。今日はほとんどパーオンしたので良かった」-これでは、アマチュアのゴルフです。
かなりフルショットばかり練習しているので、ウエッジを除く長いクラブまでうまく打ちます。が、パーオンを逃すと、ボギーなのです。ですから、またひたすらフルショットを練習するのです。
さて、フルショットを死ぬほど練習して確率を上げるか?グリーン周りのチップアンドパットでパーを拾うか?どちらが確率が高いでしょう?どんなにフルショットを練習しても、ロボットでない人間は乱れることが多々あるのです。それなら、動きの少ない動作の練習を積んだ方が確率は高いし、上達も早いと思います。
さきほどの目標(1)から(6)まで、実際に必要なことは何でしょう。ゴルフの技術が大きくかかわるコースマネジメント。これなのです。たくさんの技術がないので、1センチでもグリーンの近くに行けばよし!これでは、プロレベルではありません。
まず、自分の現在のゴルフ技術がどのくらいであるか認識する必要があります。根拠のないミラクルショットはなし-と考え改め、攻める時はリスクを負うものとし、コースマネジメントに必要不可欠な、日本人ゴルファーが不得意とするテクニックを学び、目標(1)~(6)を達成するための技術や方法など、次回からシリーズでご紹介いたします。
(LPGAインストラクター・今井貞美)