バーディーを作る100ヤード内の寄せ

 まだ80をたたく生徒にも、バーディーに慣れさせる。バーディーはラッキーアクシデントでもない限り、失敗をしたら取れないので“バーディー奪取”は、自信のエッセンスでもあります。

 日本のプロを目指すゴルファーの多くが、フルスイングばかりに関心を持っています。パーオン率を上げることが目標だからです。ラウンド後に「で、(パーオンを)外したホールでいくつ寄せワンしたの?」と聞くと、答えられない。気にもしていない寄せワン。しかし、これは、大きな問題です。

 パーオンしてワンパットはいくつあったのか?パーオン率がそこそこ良いのに、バーディーが少ないのは、ウッドで乗せてもアイアンで乗せてもピンからの距離が変わらない。それを変だと感じていない。感じていないからアイアンの練習が足りない-という思考の巡り合わせがあるのです。

 長いクラブからウエッジまで、フルショットで練習するので、スイング軌道の基本=ハーフショットすらできない。ハーフができないので、パンチショットもできない。結果、いろいろな弾道や距離を打ち分ける技が少ない。

 バーディーはチャンスを待つのではなく、作るもの。これがプロの思考です。

 (1)ウエッジ、ショートアイアン、ミドルアイアンの練習をかなりすること。必ずターゲットを決めて正しい方向にアドレスを取ること。クラブ番手によって、ターゲットまでの距離を決めて打つ練習をすること。ショートアイアンならターゲット(カップ)までの距離は2メートル以内、ミドルアイアンなら5メートル以内になるように正確性を上げるのです。

 (2)ハーフショットとは、目標方向を外さない効果的な打ち方。ハーフショットはアドレス時の前の部分で行えるテークバック~フォロースルーも直線的なイメージで捕らえられます。ウエッジ、ショートアイアンはアップライトになるので方向性抜群です。正確なショットをするためには、ハーフショットで無理のないスイングをすること。2本のスティック間にボールを置いて打ってみる。弾道がスクエア回転であることを確認する。

 スイングアークが長ければ長いほど、タイミングが合えば飛びますが、狂えば大きなリスクを伴います。スイングアークが長いということは、タイミングポイントがたくさんあるということ。飛ばすウッドとピンに絡むショットでは、明らかに打ち方が違う?いえ、打ち方が違うのではなく半分の動作ですから、シンプルです。PGAツアーでも、グリーンを狙ったショットのほとんどがハーフショットで乗せていきます。この技でバーディーが生まれます。トラブルショットもハーフショットで脱出することが一番効果的です。

 (3)100ヤード以内の正確さ。日本の多くのゴルファーは、グリーンに乗せるときウエッジばかり使います。もっと、いろいろなクラブを試してみましょう。打ち方はシンプルなのですから、クラブを変え、フォローの高さを変え、テークバックにコックを加えたりと、今まで知らなかった、やさしくて効果的な100ヤード以内のベタピンができるようになります。

 ピッチングウエッジや50度、52度のウエッジは、58度や60度などのウエッジよりはるかに打ちやすく、余計なスピンもかかりにくく、ターゲット方向にフォローが作りやすいのです。

 フルスイング&カット打ちで、風に弱くフワーっと上がる高弾道で軽くスライス系でグリーンに乗せる。時には力み過ぎて左フック!これでは、なかなかピンに絡む弾道を作り出すのは難しい。

 長いクラブのうまさに比べ、初心者並みのウエッジ、ショートアイアンの技術では寂しいものがあります。従来の技術に加え、多種多様の新技術を学んだり、考え出したりすることがバーディー獲得に必要です。状況に応じたリスクの少ないショットができれば、うまいプロの仲間入りです。

(LPGAインストラクター・今井貞美)

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