危ないアドレスとルーティーン
先日のプレジデントカップは、最後の最後まで目が離せない素晴らしい大会でした。18番ホールで勝負が決まる組が続き、松山英樹選手もまた盛り上げてくれました。
パターのアンカリングが禁止になる2016年に備えて、アダム・スコットは長尺パターから普通のパターに変えていました。最終日のアダムVSリッキー・ファウラーの対決はアダムのバンバン決まるパットに、全然決まらないリッキーで、あっと言う間に勝負が決まりました。フィル・ミケルソンは最高齢選手で、キャプテン推薦での出場でしたが、まだまだ“行ける”実力を見せつけてくれ、感動ものでした。
ジャック・ニクラウス設計のコースは、グリーンに奥行きがなく、手前や奥にハザード(バンカーなど)があり、難しい寄せが待っています。できれば高弾道で乗せて行きたいところです。
試合を見ているとツアープロの選手たちのアドレスは正しい方向を向いています。が、数カ月前は、あのジョーダン・スピースもアドレス時、足の方向と肩の方向が違っていて、ショットが暴れて予選落ちしましたね。キャディーさんがアドレス方向を確認することが多いのですが、その時、どこを見て確認するのでしょう。
両足ライン?肩のライン?クラブフェースの方向?。実は、ダウンザラインと言われる、アドレス前傾姿勢の身体のラインとターゲットが平行になっているかどうかが一目瞭然で分かる位置から見ます。オープンスタンス、クローズドスタンスは、例外ですが…。
アドレスなんて、初心者じゃないから必要ないよ-などと思っているゴルファー、ジョーダン・スピースだってやるのです。アマでも、プロを目指すゴルファーでも、これは一番大切な基本で、正しいスイングを作る原点なのです。確認してみましょう。これができないと「プロにはなれない!」と言っても過言ではありません。
右利きの人の場合でいうと、ターゲットに向かって横向き(平行線)で方向を作る場合、顔をターゲット方向、左に向きながらまずスタンスを作ってしまうと、顔は身体の上に目線があるので、肩がターゲット方向に向き、次にクラブフェースをターゲットに合わせる。これがダウンザラインから見ると身体もターゲット、クラブもターゲット。二つのラインは延長線上でクロスします。これがアドレスで一番起こりやすい間違い。
さて、どのような弾道が出てしまうか?
(1)アドレス時の身体の線に対して素直にスイングすると、ターゲットの右方向に出て左にフック。
(2)アドレス時のクラブフェースの方向に対して素直にスイングすると左に出て、リリースしないとそのまま真っすぐ左に。リリースするとターゲットより左方向へさらにフック。見事なアウトサイドインになります。身体のラインとクラブフェースの軌道が延長線上で交差しない正しいアドレスでないと、とんでもない弾道が生じます。
正しいアドレスを作ることはすべての弾道に関わるのです。正しいアドレスは、クラブフェースの向きがターゲット、身体の向きがクラブフェースとターゲットの線に平行。正しいボールの位置を正しく覚えて変わらずに作れること。そのためには、ルーティーンが、大きく関わってきます。
間違いが少ないルーティーンの作り方。
(1)ターゲットを正面から見て、方向を決め、クラブをターゲットに合わせる。
(2)ターゲットとクラブを結ぶ線に平行になるようにスタンスを作る。その際、右足の内側をスクエアスタンスにとり、クラブフェースのエッジラインと右足内側のラインが平行になるように立つと、テークバック、フォローの方向が作りやすい。
自分のルーティーンをいかに平静にやれるか。いえ、平静にするためにルーティーンがあるのです。緊張感が高まるショットの前に、自分の普通と変わらないルーティーンで、あっさりと打つ。
プレジデントカップでも、最終日の韓国人の選手。見本を見せてくれました。普通のチップショットが、緊張感最高潮に達してしまい、彼のルーティーンの5倍ほどの時間をかけて、打たない、仕切り直し、打たない、打てない、仕切り直し、打てない、打った!大ダフリ!!
考えるのは正しいアドレス作ること。正しいアドレスを取ったら、あっさり打つ。
肝に銘じて、実践してみましょう!
(LPGAインストラクター・今井貞美)