【舩越園子の目】目で“盗み取る”松山
「アーノルド・パーマー招待・第2日」(ベイヒル・クラブ=パー72)
予選2日間、同組のジェーソン・デーの快進撃を目の当たりにした松山英樹。「足りないものが明確になった」。それは「何?」と尋ねたが、「全体的に」とはぐらかされた。そう、ゴルフの根幹に関わる「企業秘密」を松山が明かすはずはない。プロたるもの、手の内をやすやすと見せないのは当然である。
だが、逆に松山自身は他選手のゴルフの根幹に関わる部分を目で見て“盗み取る”。初日の18番で池に落とした第2打は「どういう球を打ちたいか、わかっていない中で打ってしまった」と語ったが、あれはショット前に目をつぶって打ちたい球を思い描くデーのルーティーンを眺め、何か思うところがあったからこそ、松山の口をついたのだと思う。
通算13アンダーで独走するデーに対しては「あれが4日間続くとは思えない。(だから)自分も頑張りたい」。その直後、デーが同じことを言ったので驚いた。「13アンダーは例年の優勝スコアで、これ以上続くとは思えないから、あとは我慢するのみ」。
語らずして伝わるものがあるのは、同年代のトッププレーヤー同士、似たもの同士の面があるからだ。
願わくば、最終日に最終組で再びともに回ってほしい。
(在米ゴルフジャーナリスト)