佐々木つとむさん 愛人にメッタ刺しされ殺される
渥美清や田中角栄の物まねで一世を風靡した人気ものまねタレント・佐々木つとむさん(享年40)が、愛人から全身をメッタ刺しにされ、殺される凄惨な事件が起こったのは1987年のことだった。現場となったのは半同棲していたアパート。事件発覚の2日後には遠く離れた青森の海岸で、指名手配されていた愛人が入水自殺を図り、水死体で発見されるという衝撃の展開だった。
【声帯模写・佐々木つとむさん殺される 全身メッタ刺し】
声帯模写などで一世を風靡した“元祖ものまね四天王”、佐々木つとむさんが1987年9月4日午後11時10分ごろ、半同棲していた愛人Aのアパートで、全身をメッタ刺しにされ、殺されているのを、様子を見に来た所属プロダクション社長Bさんが見つけた。
室内にはAの筆跡で「私がおとうさんを殺すなんて夢にも思わなかった」と犯行を告白する走り書きが残されていたことなどから、警視庁捜査一課と高島平署は5日、Aを容疑者と断定し、殺人容疑の逮捕状を取り指名手配した。
調べによると、佐々木さんは奥の六畳間に下着姿で仰向けに倒れていた。胸や背中を十数カ所刺され、顔には座布団、体にはシーツ、バスタオルがかけられていた。台所に凶器とみられる包丁が残され、頭のそばには水の入ったコップが添えられていた。
四畳半のテーブルには「おとうさん、私もおとうさんのそばに行きます。あの世で二人でやり直そうね。待っててね」と、ボールペンで書かれた走り書きが置かれていた。
捜査一課は、佐々木さんが8月30日、東京・上野の鈴本演芸場に出演後、連絡がとれなかったことや、A宅に8月31日の朝刊から新聞がたまっていることから、8月30日から31日にかけての犯行とみている。
Aは9月2日、愛犬を預けた近くの動物病院に電話連絡したのを最後に消息を絶っている。佐々木さんは妻(38)、長男(14)、次男(11)、三男(5)の5人家族だが、4月ごろから別居し、Aと半ば同棲していた。
しかし、佐々木さんが麻雀などギャンブルが好きで、多額の借金があることなどからAとの仲が悪くなり、2人でB社長のもとを訪れ、Aが「うまくいかない。別れたい」と相談していたという。