山田五十鈴さん通夜に市村正親ら600人

 9日に多臓器不全のため亡くなった女優・山田五十鈴(やまだ・いすず、本名美津=みつ)さん(享年95)の通夜が11日、東京・青山葬儀所でしめやかに営まれた。山田さんを“第2の母”と慕う俳優の市村正親(63)、高嶋政伸(45)ら約600人が参列し、故人との別れを惜しんだ。戒名は「寶光院天猷〓津大姉(ほうこういんてんゆうみょうしんだいし)」。葬儀・告別式は12日午前11時から同所であり、俳優の西郷輝彦(65)らが弔辞を読む。

 誰もいなくなった斎場で、市村は飽きることなく「おっかさん」の遺影を眺めていた。最後に斎場を後にすると、「お別れしてきました。ずっと写真を見ながら、出会ってからのことを思い出していました」と努めて冷静に話した。

 山田さんとの出会いは1992年、市村が初演した帝国劇場での舞台「ミス・サイゴン」の楽屋だった。観劇に訪れた山田さんが市村の演技にほれこみ、激励したことから親交が生まれた。山田さんが「子供にふさわしい」と認めた「養子会」のメンバーとなり、「おっかさん」「おっかあ」と呼ぶと、「いっちゃん」と返す山田さんと“親子”の関係を深めた。

 祭壇に飾られた故人の遺影は、03年に舞台で共演した際のポスターに使った写真だった。「僕が紋付きはかまで七五三のちとせあめを持って、おっかさんと一緒に写ったんですよ」とうれしそうに話した。「すばらしい母。『(写真の山田さんは)これからいい仕事をしなさい』って言ってくれました。おっかさんの分まで頑張ろうと思う」と息子は誓いを立てた。

 同じく「養子会」の一員である高嶋は、涙ながらに「僕にとっては神様だった」と語った。自身が主催する朗読会へ山田さんに出演を依頼したのが出会いで、「養子会」のメンバーと一緒に今年2月5日の山田さんの誕生日を病院で祝ったばかり。「山田先生と過ごした10年以上は役者として大きな財産。これからも演技者として精進したい」と涙をぬぐった。

 祭壇には遺影のほか、女優として初めて受章した文化勲章と天皇から下賜された一般の香典に当たる「祭粢料(さいしりょう)」が飾られた。棺の山田さんには「養子会」から贈られた、お気に入りという紫色のターバンが巻かれていた。(〓は、玄に少)

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