ロック歌手・内田裕也（７２）が１７日、脳幹出血で倒れ意識不明の重体にあるミュージシャン・桑名正博（５８）を大阪市内の病院に見舞った。病室で４０年来の親交がある桑名の手を握りながら、「ステージに戻って来い！」と大声で何度も呼びかけた。見舞いを終えた内田は、桑名の奇跡のカムバックを切望。ステッキを掲げ「スタンドアップ！桑名正博！」と絶叫した。

　もうこれ以上、親友を失うことは耐えられない。脳幹出血で倒れたまま意識が戻らない桑名のもとに駆けつけたロック界のドンが悲痛な叫びを上げた。

　この日午後、桑名を見舞った内田は、３０分間、桑名の手を握りながら「立とう！もう１回、ステージに戻って来い！」と何度も呼びかけた。見舞いを終えた内田は「顔色もよかった。オレのカンだけど、祈りは通じると信じてます」と、友が奇跡を起こすことを願ってやまなかった。

　「正直、キツいんだけどね…」と内田。原田芳雄さん、ジョー山中さん、安岡力也さん、ジョニー吉長さんという、かけがえのない友を昨年から立て続けに失った。４人の名前を挙げながら、「ハート最高のミュージシャンたちが…」と沈痛な表情を浮かべた。

　それだけに、今月４日に都内の居酒屋で一緒に飲んだばかりの桑名が病に倒れたことは大きな衝撃だった。「オレにパワーがあるかは分からないけど、桑名が戻ってきてくれたら」と祈るように話した。

　桑名がデビューした時からの付き合い。７０年代に、ロック界を盛り上げるため、桑名がボーカルを務めるファニー・カンパニーと、矢沢永吉率いるキャロルの対決構図を仕掛けたことなどを、なつかしそうに語った。

　病室で、桑名の妹でミュージシャンの桑名晴子（５６）や、長男・美勇士（３１）らが奇跡を信じてにぎやかに振る舞っていたことを明かし、「いいファミリーだ。心の中は痛いだろうに、さすがロックンロール！」と称賛。友の再起を信じる内田は「スタンドアップ！桑名正博！」と絶叫し、病院を立ち去った。