高倉健、ロケ地平戸市で恩返し上映会
俳優・高倉健(81)が16日、長崎県平戸市の平戸文化センターで主演映画「あなたへ」(25日公開)の凱旋舞台あいさつを行った。昨年10、11月に同所で撮影を行った縁で、高倉が「何かお礼をできないか」と発案し、実現した上映会。自身にとって7年ぶりの舞台あいさつで、市民ら300人に「大変お世話になりました。ありがとうございました」と頭を下げた。映画館さえない小さな町に確かな足跡を残した。
高倉が舞台あいさつを行うのは、2005年の東京国際映画祭で「単騎、千里を走る。」(06年)のワールドプレミアを行って以来。しかし、7年ぶりに選んだのは小さな港町だった。
大漁旗が振られ、撮影に参加したエキストラや市民、関係者ら300人の招待客が待ち受ける中、登場した高倉は「久しぶりに高いところに立つので緊張してます。みなさん大変お世話になりました。ありがとうございました」とはにかみながらあいさつした。記念撮影では現場で親交を深めた木山キミさん(88)を隣に立たせるなど、アットホームな雰囲気をつくり上げた。
上映会開催は、温かく迎えてくれた地元へ対する高倉の恩返しだった。平戸市に映画館がないことを知り、地元の人々に映画を見てもらおうと自ら発案。25日の全国公開に先駆けて実現させた。「地元の方には本当に親切にしていただきました」とあらためて感謝すると、感極まって涙ぐむ観客もいた。
高倉は、撮影中に地元の人々との交流も深めていた。劇中に登場する「濱崎食堂」の撮影現場の近所に住む木山さんとは、休憩時間のたびにお茶を飲みながら話をする間柄になっていた。撮影に協力してくれた漁師の息子(12)とも仲良くなり、薄香港の撮影最終日には漁師の息子の通っていた小学校をサプライズで訪問した。
その後も地元の人々と手紙のやりとりを続け、上映会前日も薄香港を訪ねた。木山さんは「雲の上の人なのに、話していいのかしらと思いました。本当にたくさんパワーを頂きました」と高倉の細かい心遣いに感謝していた。