高倉健「13年前のお礼」にお返し特別賞
俳優・高倉健(81)が6年ぶりに主演した映画「あなたへ」(降旗康男監督)が3日(日本時間4日)、カナダ・モントリオールで開かれた「第36回モントリオール世界映画祭」で、コンペ部門以外の審査員が選ぶエキュメニカル審査員賞特別賞を受賞した。高倉にとっては、1999年に「鉄道員(ぽっぽや)」で最優秀男優賞を受賞して以来の同映画祭での受賞。また、女優・工藤夕貴(41)が出演した日本・カナダ合作映画「カラカラ」が「世界に開かれた視点」賞とカナダ映画に対する観客賞を受賞した。
「鉄道員」のお礼として、モントリオールの地を訪れた健さんが、映画祭からすてきな“お返し”をもらった。
ワールドコンペティション部門に正式出品されていた「あなたへ」は、主要賞の受賞こそ逃したが、コンペ部門以外の審査員で構成され、「人間性の内面を豊かに描いた作品」に贈られるエキュメニカル審査員賞の特別賞を受賞した。過去の日本作品では86年に故森田芳光監督の「それから」が同賞に選ばれている。
「あなたへ」は、妻を亡くした男(高倉)が遺言に従い北陸から九州までを旅し、その道中で出会う人々との触れ合いを描いたロードムービーで、審査員からは「人生と人々の関係の深遠な部分を照らし出している」ことが高く評価された。
高倉は今回、94年の「四十七人の刺客」でのベネチア以来、18年ぶりに映画祭に参加した。「映画祭に出るのは好きではありません」と公言する高倉。だが、13年前のモントリオールで、日本人として初めて最優秀男優賞を獲得したことに「お礼がしたい」と、同地へ足を運んだ。
前日に行われた公式上映では、上映後の観客の温かい拍手に思わず目頭を熱くした。この日、授賞式前に行われたレッドカーペットでは、映画祭の最高責任者であるセルジュ・ロジーク氏と腕を組み、各国ゲストの先頭を切ってカーペットを歩いた。充実の映画祭参加の最後に待っていた特別賞受賞に、高倉は「ロジーク氏にお礼が言えてよかった」と満足感を漂わせた。