馬渕晴子さんが死去 元NHK3人娘
女優の馬渕晴子(まぶち・はるこ、本名・井上明子=いのうえ・はるこ)さんが3日午前9時51分、肺がんのため、東京・品川区内の病院でなくなった。75歳だった。
映画やテレビで数々の母親役を演じる名脇役だった一方、日本で最初のヌードを披露した女優としても知られる。また、1986年には、強引に地上げをする不動産業者を告発し、流行語大賞を受賞した。葬儀は近親者のみで行い、後日、お別れの会の開催を検討しているという。
“昭和のお母さん”を数々演じた名脇役が、天国に旅立った。
所属事務所によれば、馬渕さんは、先月16日に発熱のため都内の病院に入院。次第に容体が悪化していき、最期は長男、次男らにみとられ、眠るように息を引き取ったという。5年前に肺にがんが見つかっていたが放射線治療で完治。しかし昨秋、肺の別の部位に新たながんが見つかり、以降は仕事をしながら入退院を繰り返していた。
09年に主演した映画「星の国から孫ふたり」のプロデューサー・光永憲之氏は1日に見舞ったばかり。「すでに意識はない状態だったが、話しかけると目にクッと生気が戻って、反応があった。『星の‐』の撮影中も体調はよくなかったが、よく差し入れをするなど、気さくな方だった」と惜しんだ。
馬渕さんは、スカウトで日活に入社し、1954年、「女人の館」で銀幕デビュー。1957年にはNHKの専属女優となり、故小林千登勢さん、富士眞奈美とともに「NHK三人娘」として人気を集めた。その後、俳優の故井上孝雄さんと結婚し出産。61年にドラマ「記念樹」で復帰すると、ドラマや映画でいぶし銀の演技を披露した。遺作は来夏公開の映画「ばななとグローブとジンベエザメ」。昨年9月中旬に撮影したという。
抑えた演技の一方、お茶の間に話題を振りまいたことも。かつて日本女優として初めてヌードを披露し話題に。バブル期の1986年には地上げ業者を告発し、同年の流行語大賞で「不快語追放応援賞」に選ばれた「地上げ・底地買い」の受賞者として表彰式に登壇。信念を曲げない生涯だった。