村上春樹氏 ノーベル賞ならず

 スウェーデン・アカデミーは11日、2012年のノーベル文学賞を、現代中国を代表する作家で、タブー視されてきた性や暴力の描写で知られる莫言氏(57)に授与すると発表した。中国作家の受賞は、フランスに亡命した高行健氏(00年)以来12年ぶり2人目。「ノルウェイの森」「1Q84」などを手掛け、有力候補に挙がっていた小説家・村上春樹氏(63)は受賞を逃した。

 村上氏と莫言氏の“日中対決”と話題になっていた今年のノーベル文学賞は、莫言氏に軍配が上がった。

 尖閣諸島をめぐり日中関係が著しく悪化している中で“中国の勝利”と新華社などは速報し喜びを強調したが、インターネット上では「村上さんの受賞が正当」などとする書き込みが多く見られた。中国でも熱烈な村上氏のファン“ハルキスト”らが「愛国」を超えて、村上作品を高く評価していることがうかがえた。

 11日付の中国夕刊紙、法制晩報は英国とスウェーデンのブックメーカー(賭け屋)による予想表を載せ、村上氏と莫言氏がトップ争いしている情勢を紹介。村上氏の作品は中国で、小説「1Q84」など多数が、若い世代を中心に愛読されていおり、発表前のネット上では「村上さんの受賞を望む。愛国とは無関係だ」「中日関係が敏感な時だが、やはり村上さんの受賞が妥当」などの書き込みが圧倒的だった。

 日本政府による尖閣国有化後、中国当局が村上さんの作品を含む日本書籍取り扱い禁止令を出した際も、中国人から「愚かすぎる」などと反発の声が上がっていた。

 村上氏はここ数年、毎年のようにノーベル文学賞候補に挙がっていた。村上氏が同賞を受賞していれば、川端康成氏(68年)、大江健三郎氏(94年)に次いで日本人3人目だったが、快挙はならなかった。

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