橋下氏「石原首相を誕生させたい」
日本維新の会の石原慎太郎代表(80)と橋下徹代表代行(43)が29日、都内で記者会見を開き、衆院選公約「骨太2013‐2016」を発表した。2人は会見を前に同日告示された東京都知事選挙に立候補した前副知事・猪瀬直樹氏(66)の応援演説にも登場。橋下氏は「石原首相を誕生させたい」と熱く訴えたものの、肝心の公約は石原氏に配慮してか、維新八策からトーンダウンする内容となった。
橋下代表代行は、東京・新宿駅前で出陣式をした猪瀬氏の応援に駆けつけた。大阪を拠点に第三極の嵐を巻き起こしたが、党結成後、都内で初めての街頭演説。「国家を動かすために石原慎太郎代表にトップに立ってもらいたい。どうしても『石原首相』を誕生させたい」と橋下氏が力強く呼びかけた。注目度も抜群の維新とあって、“石原首相”発言に聴衆から拍手がわき起こった。
2人は演説後、都内での記者会見で衆院選の公約「骨太2013‐2016」を発表。公約は「日本を賢く強くする」と題し、以前に大阪維新の会が発表した「維新八策」の理念を再整理したもの。橋下氏が「既存政党にない価値観」と胸を張った維新八策だったが、公約原案では自説を封じた。会見では、「細かく詰めるつもりはない」と述べ、100人以上の報道陣を前に居直った。
「こまごました政策を話してもしょうがないんだよ」。冒頭で石原代表が切り出すと、マイクを握った橋下氏は笑顔で石原氏に向き合い「その通りです」。
維新八策で掲げたTPP交渉参加や企業献金の禁止は公約原案から抜け落ちたものの、最終的には復活した。しかし、声高に叫んでいた脱原発は期限を明記しないまま。
橋下氏は「今(原発を)ゼロにする、10年後にゼロにする、2030年にゼロにする。言うだけでいいなら言えますが、維新の会として今出しているものが限界です」とした。さらに「方向性を示すのが政治家で具体的な工程表を作るのが官僚。役割分担をしなければいけない」とはぐらしたが、玉虫色になった印象はぬぐえなかった。