阿部寛“濃い顔”に感謝!主演男優賞
東京映画記者会(デイリースポーツなど在京7紙で構成)が制定する「第55回ブルーリボン賞」が29日、決定した。主演男優賞は「テルマエ・ロマエ」など3作品で主演を務めた俳優・阿部寛(48)が獲得。「かぞくのくに」が作品賞、安藤サクラ(26)の主演女優賞、井浦新(38)の助演男優賞で3冠に輝き、「鍵泥棒のメソッド」の広末涼子(32)が助演女優賞を受賞した。ほかの受賞は別表の通り。授賞式は2月14日、東京・千代田区のイイノホールで開催される。
2012年の映画界に“濃い~”足跡を残した男が、ブルーリボン賞を初受賞した。阿部は「濃い顔に生まれて、こんなにうれしかったことはないですね」と照れ笑いした。
「麒麟の翼」「テルマエ・ロマエ」「カラスの親指」と3作品に主演し、個性的なキャラを演じ分けた。大ヒットした「テルマエ‐」での役柄は古代ローマの浴場設計技師。濃い顔の日本人俳優がローマ人を演じるという挑戦に真正面から取り組み、突き抜けた演技を意識した。「“大うそ”を突き進んだ。これ程評価が高くなるとは。やってみるもんだなと思いましたね」と語る。
モデルから役者に転身した90年代初頭は、はっきりした顔立ちも高身長もコンプレックスだった。「ただの二枚目役しか来ない」見た目に活路を見い出そうとしていた時、舞台「熱海殺人事件」で演出家の故つかこうへいさんと出会い、身長2メートルのバイセクシャルの刑事役を与えられた。「大きな体を笑いにしてすべて吹き飛ばしてくれた」と転機を振り返る。
「29歳でつかさんに“武器”を頂いて、30代は色々なことを試そうとやってきた。40になってもっと丁寧に映画をやってみたくなった。映画賞を頂く夢がこんなに早くかなうとは思いませんでした」。役者人生26年目での栄冠を、こう表現した阿部。「自分のできないことや恥をかくことをやると、身軽になる。これからもそういうことをやって、身軽になっていきたいですね」。大きな体を軽快にさばき、阿部の挑戦は続いていく。