元JAYWALK中村耕一 復帰激白
元JAYWALK(現THE JAYWALK)のボーカルで、10年3月の覚醒剤取締法違反での逮捕を経て11年3月に脱退した中村耕一(61)が31日までに都内で本紙の単独取材に応じ、2月に本格復帰するにあたって、心境を初めて明かした。2月27日にソロアルバム「かけがえのないもの」をリリース。2月15日に名古屋クラブダイアモンドホール、17日に東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREでライブを行う。
10年5月、中村は覚醒剤取締法違反と麻薬取締法違反で懲役2年、執行猶予4年の判決を受けた。「音楽の世界から身を引こう」と引退を決意した中村を翻意させたのは、東日本大震災だった。
11年3月11日の震災から1カ月後、被災地でのボランティアを始めた。月に1~2回のペースで宮城県石巻市や南三陸町、岩手県陸前高田市などへ炊き出しや物資運搬に出向く中、気づいた被災者から歌を求められ、急きょアカペラで歌った。被災者から「私たちも頑張るから、あなたも頑張りなさい」と声をかけられたことが「ものすごく大きい。気持ちを動かされた」と言う。
「何を頑張るのか」と自問していた11年冬、居住する名古屋でミュージシャンの三宅伸治と出会った。三宅は故忌野清志郎さんのソロ活動を最後まで支えた女房役。ライブを訪れた中村に「一緒に曲を作りませんか」「アルバムを作りませんか」と誘いかけた。
「くすぶってたやつに火がつけられた」中村は三宅と12年夏、レコーディングを始めた。アルバム「かけがえのないもの」の曲調は、JAYWALKの大ヒット曲「何も言えなくて…夏」とは一転。「気取ってない。今の自分の気持ち」という、シンプルでワイルドなロックが展開される。
事件後、クリニックで「それは(薬物)依存症」だと告げられた。週に一度カウンセリングを受け、数カ月前に「もう大丈夫」と認められたが、月に一度のペースでカウンセリングは続けている。事実婚関係にあるタレントの矢野きよ実は事件後も中村を支え続け、現在は中村のマネジメントも手がけている。
中村は家族やカウンセリングが「絶対に戻らない、(薬物を)やらないといういい意味で足かせになっている」と言う。さまざまな人々に支えられて、再出発する。