海老名香葉子さん非戦と平和実現の願い
落語家の故・林家三平さんの夫人でエッセイストの海老名香葉子さん(79)が9日、東京・上野公園で東京大空襲の悲劇を語り継ぐ「時忘れじの集い」を開催。出席者ら約1000人と犠牲者を追悼し、戦争のない世界の実現を願った。
1945年3月9日から10日にかけての東京大空襲では10万人もの命が奪われ、海老名さんも家族6人を失った。当時の悲惨な体験を振り返った海老名さんは「人が人を殺す戦争ほど愚かなものはない。あの悲しみを二度と味わいたくない。戦争のなき世を祈ってやみません。命の続く限り伝えていきたい」と、涙ながらに訴えた。
式典には海老名さんの次男の落語家・林家三平(42)も出席。あいさつでは日中関係の緊張の高まりなどを意識したように「最近は日本周辺でいろんなことが起こっている」と危機感をにじませ「戦争に結びつくことがあってはならない」と、母の意思を受け継ぐ強い決意をにじませた。
海老名さんは東京大空襲の犠牲者を供養するため05年に上野に慰霊碑を建立、毎年3月9日に式典を開催している。
式典で被害者を悼む海老名香葉子さん、林家正蔵 (下)慰霊碑に花を供える海老名香葉子さん(右)と林家三平=東京・上野(撮影・田村亮介)