福山主演作品がカンヌで審査員賞受賞
仏カンヌで開催されていた「第66回カンヌ国際映画祭」の授賞式が26日(日本時間27日)、行われ、歌手で俳優の福山雅治(44)が主演した「そして父になる」(10月5日公開)がコンペティション部門で審査員賞を受賞した。
賞状を受け取った是枝裕和監督(50)は、福山からメールでエールを送られていたことを明かし「みんなとこの賞を分かち合いたい」と歓喜のスピーチ。世界デビューで結果を出した福山は「あらためて、カンヌに連れて行って頂けた喜びを実感しています」とのコメントを発表した。
授賞式で名前を呼ばれた是枝監督は、関係者と笑顔で抱擁を交わした。日本で受賞を関係者から伝え聞いた福山は「あの(公式上映後の)スタンディングオベーションの中で感じた『届いた!』という手応えが審査員賞という形で監督の元に届けられたことを心から嬉(うれ)しく思います」と、喜びを爆発させた。
連続ドラマの撮影の合間を縫って、18日に現地で行われた会見と公式上映に参加した福山は、授賞式前、是枝監督にメールを送っていた。
初の国際舞台で受けた10分間にわたるスタンディングオベーションに感激したことを感謝し「これで何も賞をもらえなかったら、(報道で)『残念ながら』と書かれる。僕たちが経験した素晴らしい瞬間を“汚されない”ためにも、何か獲(と)れればいいですね」とつづったという。
メールの内容を明かした是枝監督は「福山さんらしいエールです」とほほ笑み、受賞スピーチでは「僕を子供にしてくれたもう亡くなった父親と母親、そして僕を父親にしてくれた妻と娘に感謝します」と話した。
審査員賞を日本映画が受賞するのは87年の「親鸞 白い道」以来で、コンペでの受賞は07年の「殯(もがり)の森」の審査員特別大賞以来。カンヌのコンペが3度目だった是枝監督にとっては、04年の「誰も知らない」で柳楽優弥(23)が男優賞に選ばれて以来の受賞となる。
なお、最高賞にはフランスなどの合作映画「アデルの人生」(アブデラティフ・ケシシュ監督)が選ばれた。三池崇史監督(52)の「藁の楯(わらのたて)」と短編コンペ部門の佐々木想監督「隕石(いんせき)とインポテンツ」は賞を逃した。