宮崎駿監督、ユーミンに“泣かされた”
シンガー・ソングライターの松任谷由実(59)が24日、都内で行われた宮崎駿監督(72)の最新映画「風立ちぬ」(7月20日公開)の完成報告会見に出席した。
主題歌を決めかねていた宮崎監督が、松任谷が1973年に発表した「ひこうき雲」を耳にした際に感動で涙し、テーマ曲に選んだことがこの日判明。巨匠を“泣かせた”松任谷は「40年の時をへて、すてきな作品に出合えた」と奇跡のコラボレーションを喜んだ。
若き日のユーミンの歌声が、宮崎監督の心を震わせた。宮崎監督と35年にわたりパートナーを組む鈴木敏夫プロデューサー(64)も「(見たのは)初めてです」と驚く涙。「年を取ると涙もろくなるんですよ」と照れる宮崎監督に、松任谷はにっこりとほほ笑みかけた。
89年の「魔女の宅急便」以来となる松任谷とジブリのタッグは、宮崎監督が偶然「ひこうき雲」を耳にしたところから始まった。絵コンテ製作中にスタッフが同曲をかけ、「心に響いて不覚にも(泣いてしまった)。難しい顔をしてごまかしました」と宮崎監督。作品の世界観にぴったりと合致したことから、松任谷に主題歌の打診をした。
デビューアルバムに収録された楽曲に突如当たったスポットライトに、松任谷は「『(当時の名義の)荒井由実』は分身のようであり遠い人物であり。高校生の時に作った曲なので、40年の時をへてすてきな作品に出合えたと、高校生の時の自分に言ってあげたい」と、時間を超えた奇跡の融合を喜んだ。
「風立ちぬ」は、宮崎監督の5年ぶりの新作で、実在したゼロ戦の設計者・堀越二郎と作家・堀辰雄を融合させた主人公・二郎の生きざまを描く。二郎の声を担当した映画監督の庵野秀明氏(53)は、宮崎監督が試写で号泣していたことを告白。自身の作品に涙を流すことは過去になかったという宮崎監督は「みっともなかった」と顧みながらも、「不思議な縁や長い間の積み重ねが詰まっているので」と作品に込めた思いを語った。
松任谷も「自分の歌に泣くこともありますが、重みが違う。私も70歳を過ぎて、そのようなものを作りたい。監督は水先案内人のような気がしました」と刺激を受けた様子だった。