山田監督ら「秘密法案は最大の悪法」
日本の映画監督や俳優ら269人が3日、成立の可能性が高まる特定秘密保護法案に反対するよう、映画人やファンに求める呼びかけ文を発表した。高畑勲(78)、山田洋次(82)の両監督ら5人が連名で呼びかけ文を作成。2日までに、是枝裕和(51)、宮崎駿(72)の両監督や女優の吉永小百合(68)、大竹しのぶ(56)ら日本を代表する映画人を含む264人の賛同が集まった。
発表された呼びかけ文は、「私たち映画人は、『特定秘密保護法案』に反対します!」と題し、冒頭で「今臨時国会において安倍政権は『特定秘密の保護に関する法案』を提出し、国民多数の反対の声を無視して、その成立を強引に推し進めようとしています」と強い懸念を表明。そのうえで「私たちは、この『法案』の内容、および拙速なその審議のありように大きな危ぐと怒りをもって、この法案にたいし反対の声を上げるものです」と決意表明した。
呼びかけ文には、映画界の強い反省と後悔も込められている。「戦前、心ならずも戦争に対する翼賛を押し付けられた映画界の先達の反省に立ち、その苦渋と悔悟の思いを受け止め、日本映画界は戦後の歩みを開始しました」と説明。同法案が「『知る権利』を奪い『表現の自由』を脅かすことになりかねない」と批判し「民主主義の精神にてらし、とても容認することはできません」と訴えている。
宮崎監督は「東アジアの平和のために日本は自由な国でいなければならない」、高畑監督は「みなさまとともに、最大の悪法『特定秘密保護法案』に絶対反対の意思を表明したい」とメッセージを寄せた。
高畑監督らは3日に「特定秘密保護法案に反対する映画人の会」を結成し、廃案を目指すとしており、「映画を愛する皆さんが反対の声を上げてくださるよう、心から呼びかけます」と訴えた。