獅童、舞台後母の通夜で「幸せでした」

 歌舞伎俳優・中村獅童(41)の母で17日に心不全のため急死した小川陽子さん(享年73)の通夜が19日、東京都港区南青山の梅窓院で営まれた。歌舞伎座での「十二月大歌舞伎」(25日まで)に出演後、喪主を務めた獅童は、涙をこらえ「小川陽子の息子で幸せでした。ありがとう」と天の母に感謝した。

 冷たい雨が降りしきる中、獅童は悲しみを押し殺しながら喪主を務めた。

 通夜の間は涙が止まらなかったというが、気丈に取材に応じ「小川陽子の息子で幸せでした。中村獅童という役者は小川陽子が作ってくれました。恩は芝居で返すしかない。ありがとう」と感謝した。

 陽子さんが亡くなった後に部屋を整理していると、獅童が子供のころに書いた手紙や絵がきちんと取っておかれていたという。「ステージママとか言われて、いやだったこともあったけど…たまらないですね」と母の大きな愛をあらためて感じ、胸を痛めていた。

 飾り気のない祭壇には和服姿の陽子さんがほほ笑む遺影が飾られ、カーネーションやかすみ草などで彩られた。戒名は「華香院陽和大姉(かこういんようわだいし)」。華が香り、和やかなイメージに陽子さんの名前の一字を加えたものだ。獅童を一人前の歌舞伎俳優に育て上げたらつ腕ぶりが知られる陽子さんだが、獅童は母のやさしい部分を強調した。ひつぎには俳優仲間たちが書いてくれたメッセージカード、陽子さん愛用のサングラスと扇を納めたという。

 式場には約800人の弔問客が訪れ、獅童の元妻で女優の竹内結子からの花も飾られていた。

 葬儀・告別式は20日午前9時30分から、通夜と同じく梅窓院で営まれる。

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