三津五郎、7カ月ぶり歌舞伎舞台に復帰
歌舞伎俳優の坂東三津五郎(58)が2日、東京・歌舞伎座で「鳳凰祭四月大歌舞伎」(26日千秋楽)の初日公演に出演し、すい臓がん治療のために休演した昨年9月以降初めて歌舞伎の舞台に立った。2月に舞踊の公演に出てはいるものの、7カ月ぶりとなった“本職”での復帰に「わたしの生きる場所はここだなと感じました」と感慨無量だった。
三津五郎は舞踊劇「壽靱猿(ことぶきうつぼざる)」で猿曳寿太夫を演じた。
花道を通ってにこやかに登場。大病を患う前とまったく変わらない軽快な動きを見せ、観客は万雷の拍手を送った。客席からは「大和屋(坂東の屋号)」というかけ声に交じって、「おめでとう」と祝福する声も飛び、三津五郎は「温かい歓迎をしていただきました。いい初日でした」と感謝した。
長男の坂東巳之助(24)と協力して中村又五郎(57)を担ぎ上げる場面も難なくこなし、体力が回復していることを示した。無事に初日を終えたことを喜ぶ一方で「“三津五郎の芝居はいい”と言われるのが本当の復帰」と再スタートに気を引き締める役者魂を見せた。
昨年9月にがん切除の手術を受けたが、経過は良好。治療の影響などで、肌は浅黒くなっているが、「病気のせいで具合が悪いと思ったことがない。リフレッシュできました」とすっきりした表情。
3月には3回旅行に行き、ゴルフもプレーするなど、初めての長期休養をしっかりと楽しんだ。朝のラジオ体操が習慣になったくらいで、特別な体力づくりもしなかったといい、「何も予定がないっていいよね。これで収入があればもっとよかったのに」と笑わせた。
千秋楽を終えた後は、5~7月にさらに治療を行い、8月の舞台に出演する予定。