津川雅彦 声を震わせ「ショックだ」

「ひとひらの雪」(1985年)の津川雅彦(左)と秋吉久美子(C)東映
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 「失楽園」など男女の濃密な性愛を描いた恋愛小説や、医療を題材にした作品で知られる直木賞作家の渡辺淳一(わたなべ・じゅんいち)さんが4月30日午後11時42分、前立腺がんのため、東京都内の自宅で死去した。80歳。北海道出身。葬儀・告別式は近親者で行った。

 映画「ひとひらの雪」「別れぬ理由」などに主演し、渡辺作品の映像化では常連だった津川は「ショックだ…」と、公私ともに親しかった盟友の死に悲痛な思いを吐露した。

 最も印象に残っている作品は「ひとひらの雪」で、撮影を前にじっくり話し合うことができたという。その際、渡辺氏の「男は女々しいものだ。男々しいと書いてめめしいと読む。努力した男だけが男らしくなるが、本来男は女々しいのだ」との言葉に同意し意気投合。その後、飲みに行ったり旅行したりと、プライベートでも親しくなったという。

 津川は「僕が(小説は)体験談かと聞いたら、『体験しないでこんなことが書けると思うか?こういう本を書いていると家庭は地獄だぞ』って言ってね…」と、楽しかった日々を振り返った。

 数年前、渡辺氏から「俺が女性に飽きたら、次は男の女々しさの象徴、ジェラシーとコンプレックスを書くぞ。その時は君が主役だ」と言われたという。津川は「先生には『この世じゃなきゃできなかったことをやり残していませんか?僕と約束したじゃないですか』と言いたい。その作品を読みたかった。それが一番残念」と、無念の思いを隠さず。「僕には“三種の神器”のような3人の恩人がいる。伊丹十三さん、ジェームス三木さん、そして渡辺先生。ショックだし、本当に寂しい」と声を震わせた。

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