宮崎駿氏が米アカデミー名誉賞受賞
米アカデミー賞を主宰する映画芸術科学アカデミーは28日、「千と千尋の神隠し」や「となりのトトロ」などで知られるアニメ映画監督の宮崎駿氏(73)に名誉賞を授与することを発表した。名誉賞は卓越した業績を残した世界の映画人に贈られる。日本人監督の受賞は1990年の故黒沢明監督以来2人目。宮崎監督は「光栄なこと。アメリカまでもらいに行かねば」と喜んだ。授賞式は11月8日にロサンゼルスのハリウッドで行われる。
「千と千尋の神隠し」で03年にアカデミー賞長編アニメ賞を獲得した巨匠に、新たな称号が加わることになった。
米メディアによると、アカデミーは「グローバルに展開する映画産業において、際だった才能を持つ方に名誉賞を贈ることにぞくぞくする」と宮崎監督への授与を表明した。
アカデミーは宮崎監督について「千と千尋‐」で長編アニメ賞を獲得したほか「ハウルの動く城」「風立ちぬ」で同賞にノミネートされた経歴を紹介。90年代後半に「もののけ姫」で世界的に有名になる前から、「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」などの作品が日本で絶大な支持を受けていたとして、長年の功績をたたえた。
宮崎アニメが描いてきた物語には現代文明への批判と、自然への畏敬が込められてきた。奥深さは海外でも高く評価され、ベルリン国際映画祭で金熊賞、ベネチア国際映画祭では栄誉金獅子賞を受けた。
ただ、本人は「僕の仕事の延長に金の熊やベネチアのライオンがいるとは思わなかった」などと賞にはこだわらない姿勢を見せていた。今回の受賞にも「アメリカまでもらいに行かねばなりません」としつつも、「リタイアした人間に賞なんかいらないのにと本当は思っています」と付け加えた。
宮崎氏のほかに、フランスの脚本家ジャンクロード・カリエール氏とアイルランド出身の女優モーリン・オハラにも名誉賞が授与される。監督では過去にポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ氏やスイスのジャンリュック・ゴダール氏が名誉賞を受賞した。