卓越した業績を残した世界の映画人に贈られるアカデミー名誉賞の授賞式が８日（日本時間９日）、ロサンゼルスのハリウッドで開かれ、「千と千尋の神隠し」など多くのヒットアニメを手掛けた日本の宮崎駿監督（７３）らに授与された。アカデミー名誉賞は１９９０年に故黒沢明監督が受賞して以来、日本人監督としては２人目。

　舞台上で金色のオスカー像を受け取った宮崎監督は、笑顔満開。スピーチでは「私たちの国は（私が仕事をしてきた）５０年で一度も戦争をしなかった。このことが僕らの仕事にとって大きな力になった」「紙と鉛筆とフィルムで映画を作れた最後の時代に立ち会えたことは幸運だった」と述べ、満場の拍手を浴びた。

　昨年９月には「風立ちぬ」を最後に長編製作からの引退を表明。受賞後の取材では、短編アニメは「作れる限り作っていく」と明言した。また、「（自分が）アニメーションを続けられたのは日本が戦争をしなかったというのが大きい。戦争と原爆の記憶があったから『戦争は絶対しない』というのが定まっていたが、（戦後約）７０年過ぎてだいぶ怪しくなってきた」と話した。

　宮崎監督は「千と千尋の神隠し」で、アカデミー賞長編アニメ賞やベルリン国際映画祭金熊賞などを受賞。「ハウルの動く城」や「風立ちぬ」でアカデミー賞にノミネートされた。アカデミーは、世界的に有名になる前から多くの作品が日本で絶大な支持を受けていたことを挙げ、長年の功績をたたえた。