文太さんは梅宮辰夫の“キューピッド”

 俳優の梅宮辰夫(76)が2日、都内で行われた野球評論家・佐々木主浩氏(46)の野球殿堂入り祝賀パーティーに出席し、先月28日に肝不全のため亡くなった俳優の菅原文太さん(享年81)をしのんだ。映画「仁義なき戦い」シリーズで兄弟分を二通り演じたのをはじめ菅原さんとたびたび共演した梅宮は、妻クラウディアさんとの初デートに菅原さんが同席していたことなど長年の交友関係での秘話を明かした。

 パーティーからの帰り道、報道陣に囲まれた梅宮は「もうないよ」と一度は歩を早めたが、思い出を語るうちに足を止めた。菅原さんは俳優の先輩であるだけでなく、1972年に結婚した妻クラウディアさんとのキューピッド役だった。

 「結婚して43~44年になるけど、最初のデートに付いてきてもらったんだ。あのころは毎晩のように一緒に飲んでたから。銀座の文壇クラブから赤坂のディスコまで。何を話すわけじゃないけど、そばにいてくれてね。そういった(キューピッドみたいな)ところだな」

 最後に会ったのは1年前。妻・文子さんと一緒にいる菅原さんに新幹線の中で偶然、再会した。「百姓はいいぞ」と言われ、「俺も考えるわ。農園、見に行くから」と返したという。約束が果たされることはなかった。

 映画「仁義なき戦い」シリーズ全盛の70年代に沖縄で起きた“事件”は、今でも脳裏をよぎる。映画の舞台あいさつ後、故ディック・ミネさんのヒット曲「夜霧のブルース」が十八番だった菅原さんは、クラブをハシゴしながら、全ての店で歌ったという。

 「何軒目かで、入ったらすぐに『夜霧-』の前奏が流れてきてね。『気の利く店だな』なんて、文太さんがそのままステージに行って歌ったら、地元のヤクザが入れた曲だった。『この野郎!』って、すったもんだにもめてね。いい思い出ですね」

 高倉健さんの死からわずか18日。相次ぐ訃報に「(高倉さんも菅原さんも)80(歳を)過ぎてるからね。僕も76ですから、いつお迎えがくるか…」と神妙な表情になる。「昭和の映画スターが一人一人消えていくのが、ひたすらさみしい…。悔しいですよ。ぽっかり穴が開く心境です」。涙こそこぼさなかったが、ハンカチで目頭をぬぐった梅宮は、ため息をついた。

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