「美味しんぼ」原発&鼻血シーン修正
小学館は10日、東京電力福島第1原発を訪れて鼻血を出す描写などが議論になった人気漫画「美味しんぼ」(雁屋哲・作、花咲アキラ・画)の単行本第111巻「福島の真実(2)」を出版し、週刊誌連載時の内容を修正した。原発訪問と鼻血の直接の因果関係を否定する表現などに変えた。また、作者の雁屋氏はこの日、来年1月に“反論本”を発行する考えを明らかにした。
作品は漫画誌「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)に連載。4月28日に発売した号で主人公が診察を受けた場面は、単行本で医師の発言内容を変え、「原発見学で鼻血が出るほどの(放射)線量を浴びたとは思えません」と強調。主人公の言葉も「原発内での外部被ばくが原因ではありませんね」と変更した。
翌週号の「福島を広域に除染して人が住めるようにするなんて、できないと思います」との荒木田岳福島大准教授の発言は「福島のすべての地域を除染して危険を完全に取り除くなんて、できないと思います」とした。
小学館は単行本の巻末で「表現意図をより明確なものとするため」と修正理由を説明している。
一方、作者の雁屋氏はこの日、一連の問題について言及した5月22日以来、久しぶりにブログを更新し、一連の問題に対する自身の見解をまとめた本を来年1月に刊行すると明らかにした。
雁屋氏は「例の『鼻血問題』に対する私の意見は、本にして来年の一月に発行します」としたうえで、「まずは単行本第110巻と111巻をお読み頂いてから、ご意見を賜りたいと存じます。一部分だけ読んで、あれこれ言うのは反則でしょう」と主張した。
作品の描写をめぐっては、福島県が「風評被害を助長するもので容認できない」とコメントを出すなど反響が広がった。