サブちゃん男泣き 座長公演も卒業
歌手・北島三郎(78)が29日、福岡市の博多座で「北島三郎最終公演」の千秋楽を迎え、1968年9月の初演から通算4578回にわたって開催した座長公演から卒業した。弟子の歌手・山本譲二(64)や共演経験のある女優・山本陽子(72)らも祝福に駆けつける中、ステージに立ったサブちゃんは万感の思いと亡き弟を思い、涙した。
「あまりしゃべると涙が出てくる」。ステージでは冗談を飛ばしていたサブちゃんも、代表曲「まつり」を歌い終えると、自然と涙があふれ出た。祝福に駆けつけた山本譲二や原田悠里(60)、歌手・藤あや子(53)らステージの141人全員がもらい泣きした。
1968年に東京・新宿コマ劇場でスタートした座長公演もこの日が最後。積み重ねてきた4578回の公演で、約1000万人を動員した。「支えてくれたお客さん、共演者、スタッフのおかげです」と言い、何度も「ありがとうございました」と頭を下げた。
「千秋楽で泣くのはみっともない」と言いながらも、涙があふれ出たのは昨年7月に肝臓がんで死去した弟・大野拓克氏(享年67)のことが思い浮かんだからだ。
拓克氏は長年、北島の座長公演を担当。東京、大阪、博多と続く最後の座長公演の準備を整えた直後に、死去。北島はいつもは楽屋に飾ってある遺影を、この日は胸にしのばせ、亡き弟と一緒にステージに立った。
実は、今公演中にインフルエンザを発症した。高熱がある中、それでも歌い続けたのは「どこかで弟が見ていると信じて頑張った」からだった。
そんなアクシデントも乗り越え、無事完走。紅白歌合戦に続き座長公演も卒業。最後の座長公演への思いをつづった楽曲「泪の花舞台」を全員で熱唱し、最後の舞台を締めくくった。それでも、「まだ引退はしないよ。これが出発。皆さんへの恩返し、演歌界のために、仲間とスクラムを組んで何かやりたい」と新たな挑戦を誓っていた。