桂文枝「上方落語は米朝師匠のおかげ」
19日に肺炎のため89歳で亡くなった落語家・桂米朝さんについて、落語家・桂文枝(71)は20日、仕事先の兵庫県淡路市内で取材に応じた。
上方落語界の精神的支柱を失い「米朝師匠は高座に出られなくても、おられるのとおられないのとでは全然違う。こういう時が現実に来てしまって…残念です…」と涙で声を詰まらせた。
訃報は前夜、東京から大阪に戻る新幹線の中で聞いたといい「こんな急なことになるとは聞いておりませんでした」と動揺を隠さなかった。
大学時代に米朝さんの高座を聞き、落語の魅力を知った。若手時代には行き詰まると、米朝さんに相談した。「自分は顔も普通で舞台でにぎやかに笑わせられない」と打ち明けると、米朝さんから「顔で10分も笑わせられへん。噺(はなし)が大事や」と励まされたという。
「今日の上方落語があるのは米朝師匠のおかげ。テレビ番組の司会業でもわれわれは米朝師匠の後を追ってきました。もっともっと師匠とお話したかった」と絞り出すように語り、「教えていただいたことを次の世代につなぎます」と誓った。
夜には尼崎市内の自宅を弔問した。