愛原実花が「熱海殺人事件」に出演

 2010年に亡くなった劇作家のつかこうへいさんの長女で、元宝塚雪組の女優、愛原実花(29)が、つかさんの代表作「熱海殺人事件」(12月9~26日、東京・紀伊國屋ホール)に出演することが22日、分かった。愛原のつか作品出演は初めて。つかさんが死去する直前、親交のあったホリプロ・堀義貴社長(48)に「娘を頼む」と託しており、今回は堀社長が、“遺言”に従い企画・立案した。

 演劇界に数々の伝説を残した鬼才の名作に、愛娘が出演する。

 作品は1973年に初演され、翌年の岸田國士戯曲賞を受賞。現在まで600回以上公演されてきた。殺人事件犯人の金太郎と捜査する部長刑事・伝兵衛、新任刑事・留吉、婦人警官・ハナ子が展開する4人舞台だ。

 ハナ子を演じる愛原は当初、堀社長から「あなたが作品を守らなきゃ」と促されても、タカラヅカとは真逆な、父のアンダーグラウンドな世界観に興味を示さなかったが、11年の韓国ソウル公演を観劇し「やりたい」と“改心”したという。

 「子供のころから別世界だと思って見ていた世界に初めて踏み込む不安はあるが、私の人生にとって大きな意味を持つことになるはず」と意気込む。堀社長も「つかさんの娘らしい狂気を持っている」と期待する。

 愛娘を支えるのもつかさんの盟友たち。伝兵衛を演じる風間杜夫(65)、留吉役の平田満(61)は「蒲田行進曲」で人気となった名コンビだが、「熱海-」での共演は82年以来33年ぶり。「つかさんの忘れ形見の実花さんと一緒の舞台に上がるとは!」(風間)と興奮を隠さない。

 金太郎は中尾明慶(26)、脚本は、つかさんのコピー劇団としてスタートした「劇団☆新感線」のいのうえひでのり氏(55)が担当。堀社長も「これでつかさんのハッピーエンド。供養になるかな」と万感の思いを作品に込めている。

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