ピース・又吉の「火花」、芥川賞候補に
第153回芥川、直木賞(日本文学振興会主催)の候補作が19日付で発表され、お笑いコンビ・ピースの又吉直樹(35)の「火花」が芥川賞にノミネートされた。いわゆる純文学作品が候補となる芥川賞で、人気芸人の小説がノミネートされるのは異例。5月に発表された第28回三島由紀夫賞では決選投票で惜敗した又吉だが、国内で最も高名な文学賞を手にするチャンスが訪れた。
又吉は「読書芸人」としても知られ、読書をテーマに大学で特別講義を行ったり、エッセー集「第2図書係補佐」を発売したりするほどで、2012年には「別冊文芸春秋」掲載の「そろそろ帰ろかな」で小説家としてデビューした。
「火花」は芸人を主人公に、「自分なりに人間を見つめて書いた」という初の純文学作品だ。今年1月7日発売の文芸誌「文学界」2月号に掲載されると1万部が完売。同誌は2度の増刷で4万部を発行、増刷は82年前に創刊以来、初という大反響を呼んだ。
3月11日発売の単行本は初版15万部、発売前に3万部が重版され、今年上半期のベストセラーランキングで2位(日本出版販売調べ)に。5月14日の三島賞選考会では受賞作との決選投票の末、2対3で敗れたが、選考委員の作家・辻原登氏(69)は「見事な職業小説であり、青春小説」「落ちるはずのない作品が落ちた。欠点は思いつかない」と絶賛した。
又吉は20日に都内で著書の出版記念イベントを行う予定で、反応が注目される。
また、「ゆれる」「ディア・ドクター」などで名高い映画監督の西川美和氏(40)の「永い言い訳」が直木賞候補に。西川氏のノミネートは09年上半期以来2度目となる。
選考会は7月16日に都内で開かれる。