「料理の鉄人」出演・岸朝子さん死去

 テレビのバラエティー番組「料理の鉄人」に出演し、「おいしゅうございます」のコメントで人気を集めた食生活ジャーナリストの岸朝子(きし・あさこ)さんが22日午前3時16分、心不全のため東京都千代田区の病院で死去した。91歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者で行った。11月14日にお別れの会を開く。喪主は次男俊行(としゆき)氏。

 岸さんは幅広い人脈を持ち、多くの料理人に影響を与えた。子育てをしながら、生き生きと働いたワーキングマザーの先駆けでもあった。

 岸さんは、1955年、「主婦の友社」に入社。4人の子育てをしながら料理専門記者として活動し「仕事は面白かったしね。やればできるのよ」と振り返ったことがある。大きなおなかを抱え、原稿に追われたこともあったが「食事だけはどんなときもきちんと作っていましたよ」。師事した女子栄養学園(現女子栄養大)の創立者香川昇三、綾夫妻の理念「食は生命である」を心に置いてきたからだという。

 その後、女子栄養大学出版部に移り、雑誌「栄養と料理」の編集長を務め、79年に料理関連の企画編集会社を設立。93年に放送が始まった「料理の鉄人」の審査員を務め、上品なコメント「おいしゅうございます」が評判になった。

 仕事場に訪問客があるとよく食事に連れ出した。老舗の鶏料理店、道場六三郎氏の和食店…。行く先々に旧知の料理人がいて、雑談を交え、機会を逃さず取材を重ねた。

 料理だけでなく、食事の姿勢やマナーに気を配った。「おわんは、そんなふうに指を広げてつかむものじゃありませんよ」と、食卓を囲むときはすかさず注文を付けた。鉄人たちの「お目付け役」の素顔は、笑顔を絶やさないお母さんだった。

 オーストリアワインの普及活動などが評価され、99年にオーストリア政府からバッカス賞を授与された。

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