女性ジャズプレイヤー活動域拡大の理由

 ジャズにおける女性のパートというと、今まで個人的にはボーカルかピアノという印象が強かった。

 手持ちのCDを見ても、ボーカルならビリー・ホリデイ、エラ・フィッツジェラルド、ダイナ・ワシントン、サラ・ヴォーンらレジェンドから、ノラ・ジョーンズ、ダイアナ・クラール、カサンドラ・ウィルソンら現役まで。ピアノならアリス・コルトレーン、穐吉敏子から大西順子、上原ひろみ、山中千尋まで。それ以外のパートで、女性の名はクレジットにあまり見当たらない。

 ところが今や必ずしもそうではないのだと、先日「Jazz Lady Project」のメンバーを取材して知った。

 11人の女性ジャズミュージシャンによるプロジェクトで、2012年に第1弾アルバム「THE JAZZ LADY」をリリース。今年6月には第2弾「GIRL TALK」を発表した。

 メンバーはメジャーレーベルから作品をリリースしたり、リーダーバンドがあったり、地上波テレビ番組にレギュラー出演したりといずれも一線級で、五十嵐はるみ(ボーカル)いわく「組長ばかりが集まった。全員が一家のあるじ」だ。内訳は、ボーカル=1人、ピアノ=2人、ベース=2人、ドラムス=2人、サックス=2人、バイオリン=2人となっている。

 ジャズの現状をメンバーに教わった。

 五十嵐によれば、楽器ではピアノは女性が比較的多く「女3対男7くらい」の割合で、ボーカルは「女が圧倒的に多い」という。折重由美子(ピアノ)が拠点とする広島では女性ピアニストの方が多く、男性ピアニストは「あまりいない」(折重)というほどだ。

 大西由希子(サックス)によれば、サックスも「最近(女性が)増えている。女2対男8(くらいの割合)?」とのこと。

 大西はその理由を、女子高校生(上野樹里、貫地谷しほり、本仮屋ユイカら)が吹奏楽部でビッグバンドジャズに挑む姿を描いて大ヒットした映画「スウィングガールズ」(2004年)の影響と、吹奏楽部からジャズに行き着く人が増えたことだと指摘する。

 ちなみに楽器別で女性が少ないのはウッドベースとドラムス。大西によれば「今回入ってるコたち(ベースは中村尚美と若林美佐。ドラムスは飯塚理恵と東原亜衣)は、日本の中でもトップクラス」だという。

 2000年にメジャーデビューした五十嵐は「ちょっと前までは、ここまでになるとは思わなかった。(ジャズは)男性のものだと。ここ10年でガラッと変わった。ジャズクラブに聴きに来る女性も多いし」としみじみ。五十嵐は「見て楽しい、聴いてホンモノ」、折重は「言わなくてもわかり合える部分が表現されるのがすごく楽しかった」、大西は「縛りなく好き放題やったのにまとまった。本能的に同性の何かがあるのかも」と、本プロジェクトの魅力をアピールしていた。

 ジャズレディーたちは10月14日に東京の渋谷JZ Bratで、同18日に大阪のフラミンゴ・ジ・アルーシャでアルバムの発売記念ライブを行う。リリースから4カ月、ぜひ生で感じたいと思っている。(デイリースポーツ・藤澤浩之)

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