なかにし礼氏、珠玉85曲アルバム
今年、作詩家・作家生活50年を迎えたなかにし礼氏(77)の、自作85曲を収録した4枚組記念アルバム「なかにし礼と75人の名歌手たち」(18日発売)の詳細が4日、分かった。これまで世に送った名曲をオリジナル歌手の歌唱で振り返る構成で、親交の深かった故美空ひばりさん、故石原裕次郎さんら75組が登場。2人との秘蔵写真を収録するなど、戦後から平成にかけての時代が色濃く反映されている。
がん闘病から復帰したなかにし氏が、自ら企画、選曲、監修し、歌手への敬意を込めた記念アルバムを製作した。4000曲超の作品群からレーベルを超えて85曲を厳選し、時代を追って収録。最初の大ヒット曲となった菅原洋一の「知りたくないの」(1965年)から自身が訳詩、歌唱する最終曲「歓喜の歌」まで、50年の歳月を網羅している。
75組中、なかにし氏が「別格」と表現するのがひばりさんと裕次郎さんだ。ひばりさんの曲は「さくらの唄」など最多3曲を選曲。作曲家の故三木たかし氏を交えたレコーディングでの3ショットも公開、女王との思い出もつづっている。
なかにし氏をシャンソンから歌謡曲へと導いた裕次郎さんの曲は「わが人生に悔いなし」「サヨナラ横浜」を収録。87年にハワイで一緒にゴルフをした際の写真も添えた。
なかにし氏はアルバム収録した北島三郎(79)の「まつり」を挙げ「書いた時はこんなになるなんて思わなかった。あれだけ全国を興行して歩いて歌ったことでここまでになった」と述懐。「(詞を)作るのは僕でも一つの現象として仕上げていくのは歌手の力。その努力は大変なもの」と歌い手をたたえた。
2012年に食道がんから生還した際、「やり残していることがあるのではないか」と考えたことがきっかけで温めてきた企画。今年2月の再発を乗り越えて完成させた今作には、これまで出会った歌手たちへの感謝となかにし氏の50年の歩みが凝縮されている。